電力カルテル問題 株主が関西電力に役員提訴を請求
粟野仁雄・ジャーナリスト|2023年6月28日7:00AM
関電だけは課徴金逃れ
関電以外の3社は独禁法違反で公正取引委員会(公取委)に摘発され、3社で計約1000億円もの課徴金を課された。ところがカルテルを持ちかけた“首謀者”の関電だけは、調査開始前に違反を申告し、リニエンシー(課徴金減免制度)により課徴金を免れた。
海渡雄一弁護士は「島根県知事(丸山達也氏)などは中国電力に対して『関西電力を訴えるべきだ』と言っていると聞く。高値で電気を買わされてきた官公庁も関電を訴えなくてはおかしい。関電は地域独占で自由競争も阻害し、新エネルギー新会社の参入も妨害している」と指摘する。
河合弘之弁護士は「“首謀者”の関電がリニエンシーで処分を免れるのは道徳的に許されない。関電は森山助役問題では、値上げについて『役員の報酬をカットした』と理解を求めながら、こっそり補填していたことが暴露されて謝罪していた。そういう時ですらこうしたことを平気でやる。こんな悪辣な会社はそうはない」と怒りを込める。
大阪の加納雄二弁護士は「電通には検察OBがいなかったから東京地検が(東京五輪問題で)摘発できたと聞く。関電でこういう悪事が平気で行なわれるのは、顧問弁護士らが、フロッピー改竄事件の時の大阪地検検事正だった男(小林敬氏)を始め、元検察だらけだからです。メディアはこの事実をもっと報じるべきです」と強調した。同感である。
(『週刊金曜日』2023年6月23日号 *週刊金曜日オンラインでの配信時に一部修正)