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杉並、渋谷両区議会が「インボイス延期を」の意見書を可決 その動きを後押ししたのは

平畑玄洋・編集部|2023年7月1日7:00AM

6月14日に国会正門前で開かれた「STOP!インボイス全国一揆」大集会。(撮影/渡辺妙子)

 10月に国が導入するインボイス(適格請求書)制度に待ったをかけようと、実施延期を求める意見書の可決が地方議会で相次いでいる。東京都内でも6月19日、杉並区議会が23区の先頭を切って意見書を可決。翌20日は渋谷区議会が続いた。背景には全国に広がる市民運動「STOP!インボイス」の後押しがあった。意見書に法的拘束力はないものの、提出にかかわった議員は「町場の声を受けて国に明確な意思表示ができる大事な権利だ」と強調する。

 杉並区議会では賛成25、反対22の僅差で可決した。4月の改選で7から10に増えた1人会派が結果を左右した。「STOP!インボイス」に賛同し、区議会に意見書提出を求める陳情をした男性(66歳)は「1人、2人でひっくり返る状況だった」と振り返る。そのため、全会派に接触したという。

 インボイスを発行するには、売上高が1000万円以下の小規模事業者でも消費税を納めなければいけない。陳情を審査した同区議会区民生活委員会の和氣みき議員(共産)は「杉並はアニメの聖地として知られ、演劇人などの表現者や商店も多いので打撃が大きい」と話す。

 渋谷区議のもとには声優の有志が陳情に訪れた。声優の7割以上は年収が300万円以下だとする調査結果を携えていた。意見書は「(アニメを含む芸術分野では)インボイスによって廃業を検討している事業者の多くが20~30代の下積み世代の若手だ」と指摘した。

 渋谷区議会は意見書や決議を全会一致で本会議に上程する慣例があり、自民、公明、維新を含む全会派と無所属の区議が賛成した。意見書の原案を提出した第3会派「シブヤを笑顔にする会」の橋本侑樹議員は「渋谷はエンタメカルチャーを振興する街でもあり、コロナ禍や物価高騰で地域経済が苦しい時期という点で各会派が賛同できる内容だったのでは」と話す。

(『週刊金曜日』2023年6月30日号)

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