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初の「ファクトチェックアワード」大賞にリトマス
岩本太郎・編集部|2023年7月4日7:00AM
チャットGPTなどによる誤情報が今後は爆発的に増える恐れ
このようにネットニュースからテレビ報道まで並んだ中で大賞に輝いたリトマスは、大手メディア出身者以外の一般の人々により昨年発足したFC専門メディアだ(今年2月10日号本欄で詳報)。
財務省が国民健康保険の一部を国が負担する「高額医療費負担」を廃止し、都道府県の負担とすることを検討している事実を報じた『毎日新聞』記事(昨年7月27日)をきっかけに、まったく別制度の「高額療養費制度」と混同したと見られる議論がネットで広がった事態を検証した作品だ。選考委員の小笠原盛浩さん(東洋大学教授)は「元記事が正確でも誤解は生じうる。そう考えると『誤解を解く』ことの意義は大きい」と授賞式で講評。リトマス編集長の大谷友也さんは受賞の弁で「特別の(報道)経験のない個人でも、『事実』を注視する冷静な目を持っていれば質の高いFCが可能だと示すことができたのでは」と喜びを語った。
優秀賞に2点が選ばれたネットメディア「InFact」編集長の立岩陽一郎さんは、受賞の喜びとともに「こうした賞によりFCが日本に根付くことが重要」と指摘。InFactが現在、同志社大学の学生と一緒にFCを行なっていることに触れ、「大学教育とFCは非常に親和性がある。来年は大学生が書いたFCにより、この場に再び来られることを期待したい」と述べた。
最後にあいさつに立ったFIJの瀬川至朗理事長は「コロナ禍、国葬、ウクライナ侵攻、水害など日々の重大ニュースの一方、医療費やホテルの価格高騰をめぐる噂など多様なテーマを対象に、多面的な調査に基づいた質の高い検証をした受賞作が揃った。チャットGPTなどによる誤情報が今後は爆発的に増える恐れがあり、FCの必要性はさらに高まっている」と締めくくった。
(『週刊金曜日』2023年6月30日号)