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伊方原発4訴訟で初の結審
大分地裁の判決は3月
地震と火山が焦点!

大原洋子(伊方原発をとめる大分裁判の会)|2023年7月5日7:00AM

入廷する原告ら。(提供/伊方原発をとめる大分裁判の会)

 四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを求め、大分地裁で争われている訴訟が、6月15日、第27回口頭弁論期日をもって結審した(2016年9月提訴、原告は大分県民569人)。この日は、最も広い法廷(84席)に入れなかった人も。原告側の意見陳述の後、武智舞子裁判長は判決期日を来年3月7日と言い渡し、閉廷となった。

 意見陳述は4人。原告の高橋聡美さんは、グリーンコープ生協で脱原発活動をしてきたが、福島原発事故に至ってしまい、実は何もできていなかったと後悔、必死で真実を学び取ろうとしたという。大分に招待した福島の子どもたちが帰路、車の窓からビニール袋を出し、空気をお土産にしようとする姿を見て、母親たちと交流し、彼女は確信した。同じ過ちを繰り返そうとしている現状を母親として傍観できないと。思いのあふれた、締めくくりにふさわしい陳述であった。

 その後、弁護団共同代表の德田靖之弁護士が「判断枠組み」、田中良太弁護士が「地震」(地下三次元探査を実施していない四電を批判)、佐藤朗弁護士が「火山に対する安全性評価」について、改めて陳述をした。最後に德田弁護士は、「立証責任に逃れることのないよう」とダメ押しした。

 報告集会で弁護団は、「地震と火山に絞ったのは、大分地裁がとめるという司法判断をするとしたらどこか、と安全性をめぐる弱点を考えた。『地下三次元探査』に関しては、規制委をつくったときの議論では地下三次元探査を義務づけているにもかかわらず、四国電力は実施せず、いろいろ弁明。また、火山については四電の噴火リスクの想定は著しく小さい」「専門的になりがちな原発裁判をわかりやすくしたかった」と報告した。

 7年に及ぶ訴訟の間にはさまざまな出来事があった。提訴準備中に起きた熊本・大分地震では大分も大変な被害を受けた。コロナ禍による延期や傍聴席の制限、裁判長の急病により2022年7月の口頭弁論より現裁判長に。22年秋には2日間にわたり証人尋問(原告側3人・被告四電1人)も行なわれた。伊方原発ゲート前集会に参加するたび、スグ隣なんだと実感し、今年5月の伊方町の震度4の地震にはヒヤリ。ドイツでは全ての原発がとまったが、かたや日本では、岸田政権が民意を問うこともなく今国会で原発の60年超運転を可能にするGX脱炭素電源法を成立させ、あからさまな原発回帰政策への転換に舵を切った。

 同種訴訟は松山地裁・広島地裁・山口地裁岩国支部でも係争中だが、審理が長引いており、大分で最初の判決が出ることになる。9カ月間は待つ身には長い。「裁判所がきわめて慎重な判断を要すると考えている証」との弁護士の言葉に期待をかけ、法廷外の活動に努めよう。

 何としても勝訴を勝ち取り、今回、工夫を凝らしたアピールグッズを手に海を渡って駆けつけてくれた四国の仲間たちや、思いをともにする全ての人たちと喜びを分かち合いたい。

(『週刊金曜日』2023年6月30日号)

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