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「Dappi」裁判、被告の会社社長は最後まで開示拒否 投稿者不明のまま10月判決へ

北野隆一・『朝日新聞』編集委員|2023年7月8日7:07AM

なおも投稿者不明のツイッター「Dappi」アカウント。すでに2年近く新規投稿がない。

 

 匿名のツイッターアカウント「Dappi」による投稿で名誉を傷つけられたとして、国会議員2人がウェブコンサルティングを業務とする東京都内のIT会社に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が6月26日、東京地裁(新谷祐子裁判長)であった。被告本人尋問が行なわれ、被告会社の社長と専務が初めて出廷したが、地裁が求めていた投稿者名の開示は拒んだ。Dappiの投稿者が誰かが明らかにされないまま裁判は結審。判決は10月16日に言い渡される。

 Dappi(@dappi2019)は2019年6月に開設された。フォロワーは今年6月26日現在で約16万7000。ネット番組や国会中継の動画とともに野党を批判する出演者の言葉を紹介したり、与党議員の発言を評価したりする投稿を繰り返していた。

 このアカウント以前にも大文字の「DAPPI」アカウント(@take_off_dress)が15年1月に開設されている。約12万のフォロワーがいたが、ツイッターのルール違反を理由に19年6月に凍結。直後に現在のアカウントが開設された。

 Dappiは20年10月、公文書改竄を強いられ自殺した財務省近畿財務局の職員について「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊るしあげた翌日に自殺」などと投稿。立憲民主党の小西、杉尾両参議院議員は、この投稿が名誉毀損にあたると主張。投稿に使われたネット回線契約者のIT会社を相手取り、計880万円の支払いを求める訴訟を21年10月6日に起こした。Dappiの投稿は、提訴直前の10月1日を最後に途絶えた。菅義偉首相(当時)が退任し岸田文雄首相が誕生する直前の時期にあたる。

 原告側は訴状で「被告会社は業務として役員や従業員などにより投稿を行わせた」と主張し、投稿者名の開示を求めた。被告会社側は、投稿が従業員によるものと認めたが「業務と関係ない私的な投稿」と説明し、会社や役員の関与を否定。投稿者に対しては「業務時間内に職場で業務外の私的行為を行なったとして厳重注意した」として、減給処分にしたことを示す給与明細を地裁に提出した。

 ところが、明細の氏名部分が黒塗りだったため、原告側が黒塗りのない明細の再提出を求め、裁判所に文書提出命令を出すよう申し立てた。新谷裁判長は今年3月の決定で2週間以内に明細を再提出するよう会社に命じ、「投稿者が役員か否かは、投稿が業務として行われたかの検討に重要」と指摘した。だが会社側は応じていない。

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