「Dappi」裁判、被告の会社社長は最後まで開示拒否 投稿者不明のまま10月判決へ
北野隆一・『朝日新聞』編集委員|2023年7月8日7:07AM
それでも開示を拒む理由
6月26日の尋問でも、社長は投稿者名の開示を拒否した。理由として「(提訴された)21年10月以来、会社や自宅にメディアの方が多数来た。電話やインターホンが鳴りやまず、ネット上で脅迫もあった。投稿者名を明かせば多くの方が押しかけ、嫌がらせが想定される」と説明した。新谷裁判長は「正当な理由なく証言を拒絶すると、相手の主張を真実と認めることができる。それでも答えは変わらないか」と民事訴訟法の規定を踏まえて念を押したが、社長は姿勢を変えなかった。
尋問で社長は、自身はツイッターを使っていないといい、会社がツイッターの発信や動画編集を業務として受けたことは「ない」と答えた。契約相手には、自民党の東京都支部連合会や個人の政治家がいると認めた。
社長は、会社がコロナ禍の前からテレワークを導入し、出社していたのは15人の従業員の2割程度だったとしたうえで、投稿者については「かなりの率で出社していた」と答えた。会社の業務時間は午前10時から午後7時とされる中で、投稿者については「10時前後に出社する私より早く会社に来て、7時以降までいた」とも語った。
閉廷後、原告側代理人弁護士は「裁判所の命令にも応じず、尋問でも正当な理由なく名前を開示しない被告側の態度は不誠実だ。『被告会社が業務として投稿していた』というわれわれの主張が正当であることを主張していく」と語った。
(『週刊金曜日』2023年7月7日号)