日本は総合が146カ国中125位で、G7では最下位 前年から9ランクダウン
神原里佳・ライター|2023年7月12日7:00AM
世界経済フォーラムが世界の男女格差の現状を評価した「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数(GGGI)」2023年版を6月21日に発表した。
日本は総合が146カ国中125位で、G7では最下位。前年から9ランクダウンしたうえ、06年の発表開始以来、過去最低という結果となった。分野別では経済が123位、政治は138位で世界でも最低クラスだった。
ジェンダーと政治が専門の申琪榮お茶の水女子大学教授は「日本のように社会のリーダー層に女性が少ない国は順位が上がらない」と分析。「政治・経済分野の男女格差解消のためには諸外国が実施するクオータ制などを含む積極的な措置が必要」と指摘する。
浅倉むつ子早稲田大学名誉教授(労働法・ジェンダー法)も「日本の問題は、口ではジェンダー平等といいながら、それを実現する強い政治的意思がないところにある。政権の担い手による人権への理解が不足している。口先だけでなく、政府は責任をもって国際社会における人権制度を育てるために貢献すべき」と苦言を呈した。
6月24日・25日、栃木県日光市で開かれた「G7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合」では、参加閣僚の中で男性は日本の小倉將信担当相のみ。米国誌に「日本は男性の大臣を送り込んだ」と皮肉られ、政治分野のジェンダー平等の遅れを露呈した。ともあれ、会合ではジェンダー平等の実現を目指す「日光声明」を採択し、翌26日、G7ジェンダー平等担当大臣ら8人と市民団体が対話するイベントが東京都内で行なわれた(G7の公式グループでジェンダー平等と女性の権利に関する提言をするW7〈Women7〉ジャパンと駐日欧州連合代表部の共催)。
小倉担当相はG7の議論と日光声明について報告。コロナ禍が女性の就業や生活に甚大な影響を与え、女性のケア・労働負担やジェンダーに基づく暴力が増加したこと、背景にある構造的課題を整理し、女性の経済的自立を確立・強化する方策を議論したと語った。
報告を受け、ジェンダー平等アドバイザリー評議会(GEAC)の黒田玲子東京大学名誉教授は「G7が実行するべき最も大切なことはジェンダーギャップの解消」だと発言。「SDGsの17の目標のうちジェンダー平等は5番だけだが、その他の目標にも深く関わる。ジェンダーギャップを取り払わないことには何の目標も達成できない」と指摘した。