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東京・明治神宮外苑地区再開発に反対の動きが拡大 故・坂本龍一さんらの遺志継ぐ
岩本太郎・編集部|2023年7月15日7:00AM
地下茎のようなネットワークで支えられている
坂本さんや村上さんなど著名人による発言やアクションが目立つ背景には、神宮外苑一帯にマスメディアや広告業界などで活躍する作家やアーティストなどがもともと多く住んでいたことも大きい。前回の東京五輪(1964年)後、選手村のあった一帯に、急成長を遂げつつあった広告業界の制作者らが移り住んで事務所やスタジオを構えたことはよく知られる。
「そういう人たちが別に仕事とは関係なく一人の住民としての立場から、住民説明会に参加しながら『何とかしなきゃ』と、以前から動き回っていたんです」と背景を説明するのは、前記ユーチューブ動画の制作・配信を手がけた広告会社「サステナ」代表のマエキタミヤコさん。電通出身の広告制作者で、これまで環境保護や反原発など、さまざまな社会運動の支援に取り組んできた人だ。今回の件では坂本さんだけではなく、2月に亡くなったアートディレクターの信藤三雄さんの遺志をも継いでいるという。松任谷由実やサザンオールスターズ、MISIAなど多くのミュージシャンのアルバムジャケットを手がけた信藤さんも同地区の住民で坂本さんと親交も深く、脱原発運動でデザイナーを集めたイベントも行なっていた。
ただマスメディアや広告業界で活躍するアーティストの中には、広告主や官庁からの目を気にして表立った発言などをためらう人も多い。今回の運動が同時多発的に各所で、しかし表向きには互いの連携が見えない形で立ち上がっているのもそうした事情があるからのようだ。外苑一帯に100年をかけて根を張った樹木を守るための運動は、地下茎のようなネットワークで支えられているのだ。
(『週刊金曜日』2023年7月14日号)