ジェンダー課題をアートで発信
明日少女隊、日本初の個展
宮本有紀・編集部|2023年7月21日4:57AM
トランスヘイトに危機感
明日少女隊の呼びかけ人、尾崎翠さんは「私たちは『慰安婦』問題への取り組みは#MeTooだと思っている。日本人や韓国人を含め、たくさんの国の女性が日本軍によって性奴隷にされた。これは女性の人権の問題。でも日本の若者は学校で『慰安婦』を学ぶ機会がない。だからアートを使ってきちんと伝えたい」と話す。
なお、「尾崎翠」は隊員としての名前。隊員は、佐多稲子、山川菊栄、杉野芳子、ベアテ・シロタ・ゴードン、宋桂月などの名前を名乗る。これは「戦後女性感謝プロジェクト」という活動で、戦後に女性やマイノリティの権利向上に貢献した故人の名前を使うことで、彼女たちに再びスポットライトを当てるという目的がある。
今、特に力を入れているのが、トランスジェンダーの人権に関するアート。「世界中でトランスヘイトが勢いを増していて、日本のフェミニズムの活動家の中にも、その傾向が見られることに危機感を抱いている。そこで、『フェミニズムはトランスと共に』というメッセージを発信するアート作品を作ることになった」と尾崎さんは説明する。これらの作品も個展で展開する予定だ。
また、観客参加型のパフォーマンス「女子力カフェ」をほぼ毎日開催する。「女子力が高い」という表現が、身なりに気を使っているとか気が利くとか家事が上手にできることを意味して使われることが多いのは、「社会が押しつける理想の女性像を演じることがよいことだという価値観が背景にある」と指摘する明日少女隊では、「女子力」を「女性がありのままの自分に自信を持ち、自立し、自分らしくいる力」と再定義。女性が自分らしく生きる力を学ぶ「女子力カフェ」を企画し、「世界ジェンダーギャップ指数パフォーマンス」をする予定だという。
NY支部の小池千枝さんは「この個展を機に、日本の多くの方に、若手のフェミニスト・アートに触れていただけたら」と期待する。個展情報は以下の通り。
明日少女隊個展「We can do it!」in東京 場所:北千住BUoY 東京都足立区千住仲町49―11 時間:平日15時~21時 土日11時~19時 入場料:500円
(『週刊金曜日』2023年7月7日号)