衆院総選挙、最速は「10月22日投開票」か
金本裕司・ジャーナリスト|2023年7月24日5:25PM
岸田文雄首相が衆議院解散・総選挙をちらつかせ、結局見送った通常国会閉会から1カ月。永田町の関心は「解散・秋の陣」に移っている。当面、与野党が注目するのは、臨時国会が見込まれる10月の解散だ。しかし、タイミングを計る首相には「マイナンバーカード問題」という大きな壁が立ちはだかっている。
7月初め、1枚のペーパーが永田町に流れた。8月から年末までの政治・外交カレンダーで、首相の外遊や来年度予算編成の日程が書き込まれていた。目を引いたのは、10月から来年にかけていくつかの解散・総選挙シミュレーションが書かれていたこと。出所は「自民党幹事長室」とも噂された。
8月末から9月にかけて、首相が出席する外交日程が目白押しだ(表参照)。この合間を縫って、9月前半に首相が内閣改造と自民党役員人事を行なうとの見方がある。そして、同月末から10月初めに臨時国会を開き「内閣の『人心一新』と、景気対策をぶち上げて国民の信を問う」(自民党筋)という選挙シナリオが語られる。
その最も早い想定が「10月22日投開票」だ。先のペーパーにも記載されている。実際に、与党では「当面の目標はそこと考え、準備を進めている」(公明党幹部)という。同日は衆議院長崎4区と参議院徳島・高知選挙区の補欠選挙が予定される。長崎県は次の衆院選で選挙区が1減になるが、衆院解散がなければ、現在の4区で補選が行なわれるため「ここで一気に解散はありうる」(同)というのだ。政権が課題として残している防衛費増額や少子化対策の財源をめぐる増税論議を12月に控えているため、「負担増」を打ち出す前に選挙をというもくろみもある。
しかし首相や与党の見通し通り事が進むかどうか。「マイナ問題」次第との見方が強い。
首相は通常国会末、記者会見で解散・総選挙について「情勢をよく見極めたい」と発言。にやりと笑って、内閣不信任案など野党の出方次第で解散もありうるとにおわせた。最後は自ら解散を打ち消したが、野党をけん制しつつ重要法案を成立させる結果に終わり、首相は「解散権」をうまく使った高揚感に浸っていたとも言われる。