衆院総選挙、最速は「10月22日投開票」か
金本裕司・ジャーナリスト|2023年7月24日5:25PM
6月解散なら大敗だった?
しかし、そんな首相の言動は危険な「火遊び」だったという見方が与党にはある。実際、会期末から閉会直後に行なわれたメディアの世論調査ではマイナ問題の混乱が拡大したこともあり、内閣支持率は急落(たとえば『読売新聞』は15ポイントの下落)。マイナンバーカードへの対応を不十分とする声はどの調査も7割に達した。自民党幹部は「調子に乗って解散を強行しなくてよかった。自民は大敗するところだった」と振り返る。
支持率急落にあわてた首相が打ち出したのがマイナンバーカード総点検の「中間報告」前倒しだ。当初の「8月末」を「8月上旬」に繰り上げた。点検作業は政府をあげての調査。批判の的になっている「マイナ保険証」を含め全国の自治体や健康保険組合など約3600機関から、ひもづけの状況について報告を受ける膨大な作業が必要だ。その後には福島や周辺国に懸念が残る東京電力福島第一原発の処理水放出も待っている。
首相としては、この難題をやり過ごし、その後の外交で得点を上げて選挙のタイミングをつかみたいところだ。しかし中間報告や総点検が中途半端なものに終われば、さらなる支持率の下落につながりかねない。年内どころか来年の展望も不透明になりかねない。
野党側は、野党共闘をいったん否定した立憲民主党が野党候補の一本化を模索する方針に転換した。一方、「野党第1党」をめざす日本維新の会は候補者調整を否定する。いずれも首相の出方と世論の動向をみながら、候補者擁立を急ぐことになる。
(『週刊金曜日』2023年7月21日号)