広島市立中央図書館が駅前商業ビルに移転へ
黒塗りだらけの決定プロセスに疑問
宮崎園子・フリーランス記者|2023年7月24日6:22PM
開示請求にも「黒塗り」
筆者は、市議会が最終判断をするのに先立ち、調査委託の仕様書や協議記録などを市側に公開請求したが、それらは不開示、または黒塗りだらけの部分開示だった。
「この間の議事録には『これから検討します』『関係者と調整します』などが並びます」「議論の順番が逆、性急すぎるという声も相次ぎました」。前述の市議会総務委員会では、元国家公務員の男性も請願の趣旨説明に臨んだ。
男性はこれまで十数回にわたって、図書館移転問題に関する情報開示請求を重ねてきた。現在も開示待ちの文書請求がある。計画は走り出してしまっているのに、なぜ開示請求を続けているのか尋ねると、こう答えた。「あるはずのものが平気で出てこない。なるほど、というものがあれば、こんなことはやらなかったですよ」
広島市政をめぐっては米ハワイ州のパールハーバー国立記念公園と広島市の平和記念公園との間の姉妹公園協定の発表が6月下旬に突然あり、市民の間での議論がないまま、そのわずか1週間後に協定締結がなされたばかり。また、8月6日の平和記念式典で市長が発する平和宣言の内容を議論する有識者会議も、毎年非公開で行なわれる。もう一方の被爆地の長崎市では、会議は公開で行なわれ、傍聴席まで設けられるのに、だ。
広く市民を巻き込んだ開かれた議論を積極的にしていくのが「国際平和文化都市」を標榜する自治体の行政のあるべき姿ではないだろうか。密室でことが決められていく目隠しだらけのまちに暮らしながら、「平和」とは一体なんなんだろう、と考える。
(『週刊金曜日』2023年7月21日号)