反原発、気候変動防止、再生可能エネルギー問題、みんなまとめて大集会
「ワタシのミライ」に見た希望
岩本太郎・編集部|2023年10月3日5:16PM
東日本大震災と福島原発の事故から12年半、東京・代々木公園で毎秋に行なわれてきた反原発集会が生まれ変わった。地球規模での気候災害が年々深刻な課題となる状況を踏まえ、反原発のみならず気候変動や再生可能エネルギーの問題に取り組む若者世代とも共働する場へと衣替えしたのだ。
新たな名称は「ワタシのミライ~No Nukes & No Fossil~再エネ100%と公正な社会を目指して」。主催は「さようなら原発1000万人アクション」、再生可能エネルギー100%実現を目標とする「ワタシのミライ」、あのグレタ・トゥーンベリさんの呼びかけで発足した若者たちによる世界的な草の根運動の日本版ともいうべき「Fridays For Future Tokyo」の計3団体。開催日の9月18日には午前11時からの集会、終了後の同公園の周辺でのパレードに約8000人(主催者発表)が参加した。
反原発集会は参加者層が高齢化しているとの評も近年は聞かれるようになったが、今回は会場内でヴィーガン料理の屋台や環境問題を訴える音楽ライブの開催などに20代と思しき若者たちの姿も多く見られるなど、見た目の雰囲気も従来とはいくらか変化していた。メインステージで開かれた3回のトークショーでは、武藤類子さん(トーク1)、鎌田慧さんと小出裕章さん(トーク3)が、自然を生かした農法や気候変動の防止に向けた活動、ソーラーシェアリングなどに各地で取り組む若者たちに交じり登壇のうえ語り合った。
世代を超えた「反原発」
武藤さんは「原発事故で社会や家族など多くのものがバラバラに分断されたが、今日はこの会場に来て、さまざまな活動に取り組む人たちと共通する思いを感じることができた」と評価。鎌田さんは「2011年に『さようなら原発』の立ち上げを呼びかけた9人中、存命なのは僕を含めた3人だけ。しかし今回はこういう形で若い人たちと一緒にやることができた」と喜びを語る一方、喫緊の課題である汚染水問題について「本当は『汚染水』なのにマスコミ報道は今や『処理水』と統一し、政府はその海洋放出を漁業団体との約束を蹴散らして進める。大江健三郎さんも生前、こうした(社会への)侮辱とは闘わなければならないと訴えていた」と強調。小出さんも「事故直後に政府が発出した緊急事態宣言は12年半たった今も解除されず、いまだに故郷に帰れない人たちが大勢いる。そんな中で安倍(晋三)さんですらできなかった原発回帰へと岸田(文雄)政権が、汚染水の海洋投棄という形で動き始めている」と警鐘を鳴らした。
「Fridays For Future Tokyo」メンバーで、この集会の事務局スタッフも務めた川﨑彩子さんは「私たちは今まで主に気候危機に対して声を上げてきましたが、原発問題については主に触れてこなかった。若い世代のほうが原発容認の声が大きいとの世論調査もある中で、他団体の方々とコラボすることで声を上げることができて良かったと思います」と手応えを語った。
(『週刊金曜日』2023年9月29日号)