陸自オスプレイが石垣島に初飛来
着々進む琉球弧軍事化の実態とは
吉田敬三・写真家|2023年11月6日7:56PM
10月19日、陸上自衛隊と米海兵隊による離島防衛を想定した共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」(沖縄島、宮古島、石垣島、与那国島など、琉球弧の島々を中心に実施)の一環として、沖縄県では初めてとなる陸自のV22オスプレイが新石垣空港(石垣島)へ飛来した。
熊本県益城町の高遊原分屯地を飛び立ったオスプレイは沖縄県への事前通知より40分早い10時50分頃、離発着で混み合う民間機の合間を縫い着陸。すぐに石垣駐屯地所属の燃料タンク車2台から燃料補給を受けた後、今回の目的である負傷兵搬送の訓練が行なわれ、自衛隊員と一緒に米軍関係者も陸自の救急車への担架の収容方法など手順を確認していた。
訓練終了後、米軍関係者はそのまま陸自の救急車に乗り込んで石垣駐屯地へ向かった。オスプレイも13時10分頃、高遊原分屯地へと飛び去った。
オスプレイが望める滑走路沿いのフェンスには「米軍・オスプレイ来るな!」「島を戦場にさせない」などの横断幕を持った十数人が抗議行動をしたが、一般市民の関心は決して高いとは言えない。空港を利用する観光客の多くはオスプレイの存在さえ気付かずに南の楽園を求めて足早に通り過ぎて行った。
これは始まりにすぎない
新石垣空港へのオスプレイ着陸はこれで4回目。今年9月14日、昨年3月29日、2017年9月29日、ともに米軍オスプレイのエンジントラブルによる緊急着陸で、滑走路が一時閉鎖される事態も生じた。軍事機密に触れるのか、その詳しい原因は今も公表されていない。
訓練初日の14日には空自のC―2輸送機が飛来。貨物室から降ろされたのは本土復帰後初めて石垣島に上陸する米軍車両。レーダーによる警戒・監視任務にあたる機材と一緒に陸自車両の先導で石垣駐屯地へ向かった。
日米共同訓練は10月14日から31日までで終了したが、これは始まりにすぎない。今後、石垣島や与那国島だけではなく、世界自然遺産に登録された西表島などの八重山の各島にも展開されることを危惧する。
(『週刊金曜日』2023年11月3日号)