「沖縄を再び戦場にするな!」
大軍拡に抗い今こそ「命どぅ宝」の精神を
土岐直彦・ジャーナリスト。|2023年11月14日5:22PM
若者が担う県民大集会
9月の県民の会集会宣言では、命を奪いすべてを破壊する戦争は決して起こしてはならないとしたうえで「今、私たちすべての世代は平和に生き延びることを本気で考えなければならない局面に立たされています」と危機感を露わにした。当日の司会進行を担ったのは若者たちだった。
若者代表の運営委員、阿利斎生さん(26歳)は「平和運動の中核を、ずっと先輩方にお任せするだけでいいのか。私たちも沖縄の基地や構造的差別などの問題に大いに関心を持つ。ここが戦場になれば『島のすべて』が失われ、私自身のアイデンティティも失われる」と指摘。県民平和大集会を若者主体で運営するサポートチーム(約10人)を立ち上げ、SNSを駆使して集会告知を広げるなど準備に力を入れている。集会当日は幅広い層が参加しやすいよう、コンサートや「参加者と作る巨大アート」を取り入れたり、キッチンカーや学生による自由ブースを設けたりする。
県民の会運営委員で元『琉球新報』論説委員の新垣邦雄さんは「若い世代へ運動が広がってきたことでキックオフ集会宣言案にも若手の運営委員による修正意見がかなり取り入れられた。110人を超す県内の当選1期の市町村議会議員を中心に立ち上げた『有志の会』の参加や、辺野古問題一辺倒だった『オール沖縄会議』が参画してくれたことも心強い」と解説する。
「有志の会」の中心メンバー、仲宗根由美・北谷町議は「苦難の歴史を歩んできた沖縄だが、県民の会と連携し『命どぅ宝』の精神で沖縄の自治の底力を見せたい」と力強く話す。
県民の会では、11月23日の県民平和大集会について全国に連帯を呼びかけようと、事務局長の山城博治さんを中心に10月中旬から全国行脚に努めてきた。東京や名古屋、大阪など約10カ所。「このままでは本当に戦争が起きかねない。日本全体の問題だ」と呼びかけた。呼応する集会が東京や大阪、京都などで企画されている。
折も折、国内最大規模の日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」が10月14日から31日まで、九州・沖縄、北海道で実施された。両国から計6400人が参加し、日米一体化加速が露わになった。陸自の輸送機V22オスプレイも沖縄に初めて飛来、訓練場所となった石垣島では住民グループが「反対」の声を上げた。島々の軍事色が、あらゆる面で濃くなっていく。
(『週刊金曜日』2023年11月10日号)