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岸田政権の支持率低下 
場当たり的な政策を繰り返し一体何がやりたいのか

宇都宮健児|2023年11月17日5:36PM

『週刊金曜日』編集委員の宇都宮健児氏。

 ANNが10月28日、29日に実施した世論調査の結果によると、岸田内閣の支持率は6カ月連続で下落して政権発足以降、過去最低の26・9%になったということである。

 また、所得税などを定額で4万円減税することを軸に政府が検討を進めていることについては、「評価しない」と答えた人が56%で半数を超え、「評価する」が31%だった。「評価しない」の主な理由については、「政権の人気取りだと思うから」と答えた人が最も多く、41%だった。次に多かったのは、「財政への懸念があるから」と答えた人が26%だった。さらに、住民税の非課税世帯などを対象にした1世帯あたり7万円程度の給付金の支給については、「評価しない」が48%で、「評価する」が41%だった。

 岸田文雄首相は臨時国会における所信表明演説で「成長による税収の増収分の一部を公正かつ適正に還元し、物価高による国民の負担を緩和する」と表明し、現在所得税など1人あたり年4万円の定額減税と住民税非課税世帯を対象にした1世帯あたり7万円程度の現金給付が検討されている。

 しかしながら、岸田政権は昨年12月、防衛費増額のために所得税、法人税、たばこ税3税を増税する「軍拡増税」を決めたばかりである。1年足らずで減税へと舵を切るのは場当たり的で、一貫性を欠くと言わねばならない。内閣支持率の下落が続く中での人気取り政策として出されてきた政策であることは、ANNの世論調査で明らかなように国民にも見透かされている。

 国債や借入金などを合わせた政府の債務、いわゆる“国の借金”は、今年3月末の時点で1270兆円あまりと過去最大を更新し、日本のGDP(国内総生産)の2倍を超え、世界最悪の水準にある。

 政府、日銀が、日本の長期金利を低く抑える大規模な金融緩和政策を続けているため、日米の金利差が拡大し、円安の大きな要因となっている。円安は現在の物価高騰の大きな原因となっているし、国債の大量発行は将来世代にツケを回すことにもなる。このような懸念についてもANNの世論調査では国民も感じ取っている。

「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」は掛け声だけに終わっており、場当たり的政策を繰り返す岸田首相は、一体何がやりたいのかはっきりせず、ただ長く首相をやることだけを目的としているような政権に思える。

(『週刊金曜日』2023年11月17日号)

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