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練馬区で約400棟に立ち退き?
60年以上前の計画で区が「土地収用可能」と表明
木下寿国・ライター|2023年11月20日12:16PM
東京都練馬区で、60年以上前の都市計画決定に基づく公園整備のため約400棟に立ち退きを迫るという計画(本誌昨年7月1日号で既報)がそろりと動き始めた。
計画の見直しを求める市民らが主催した区との意見交換会が10月21日、区内の地域集会所で開かれ、区からは大野貴・土木部道路公園課長ら4人が出席。市民が出した質問書に答える形で現時点での区の考え方を説明した。大野課長は「『武蔵野の面影』をテーマに、稲荷山公園の整備に取り組む」と述べ、市民側が求めた計画の見直しはせず、従来通りに進める考えを表明。また、計画全体でいくらかかるのかについても「概算見積もりの公表は慎重に行なう」として明らかにしなかった。
計画推進の理由とされた、区の貴重な自然資源「カタクリ」(ユリ科の球根植物で稲荷山に古くから群生)の保全については、その保全に取り組んできた市民運動に「感謝」しながらも、カタクリの減少と市街化の進展との因果関係については触れずじまいだった。
さらに大野課長は、都市計画法第69条の規定により施行者の区が都市計画事業認可を取得した後は約400棟に人が住む当該地域が土地収用法の対象になると説明。区が決意すれば土地収用法により収用も可能だとした。会場からは「カタクリのために追い出されるのか」との声が聞かれた。
ただ住民への計画周知が不徹底だとの批判については、大野氏は、まだ決定ではないが、文書を全戸配布し、対象地域に住んでいない土地権利者には文書を郵送したいとの考えを表明した。
本計画については公園整備に向けた専門家委員会がすでに発足。10月17日には初の会合を開いた。専門家委をサポートするコンサルティング会社も区が募集済みだ。自宅を追い出されかねない住民の反対に事実上ゼロ回答しながら、区による計画実施に向けた動きが目立ち始めた。
(『週刊金曜日』2023年11月17日号)
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