国際男性デーに記念イベント
男性の生きづらさはどこからくる?
宮本有紀・編集部|2023年12月5日7:47PM
ジェンダー平等社会の実現を目指す一般社団法人「あすには」は11月16日、「男は強くあれ」という意識や男性の生きづらさについて考える国際男性デー(11月19日)記念イベントを東京都内で開催した。
同法人の教育研修チームリーダーで社会科の教員でもある田中めぐみさんの発案で、「男性が“男らしさ”を学んだ結果、周囲の人も自分自身をも追い詰めてしまう可能性について知り、考える機会を作りたい」「男は泣くな、働けと言われ、閉じ込めてきた感情に気づき、自分の生き方を見つめ直す時間になれば」と企画したという。
DVやギャンブルなどの依存症と向き合ってきた精神保健福祉士の斉藤章佳さんや、「恋愛とジェンダー」をテーマにコラムやラジオなどで発信する文筆家の清田隆之さん、性教育ユーチューバーのシオリーヌとして活躍する助産師の大貫詩織さんらが登壇。職場や家庭での光景を寸劇にして登壇者らが台詞を読み上げ、その内容や背景について語り合った。
たとえば、職場で上司から「お前のプレゼン、○○(後輩)よりも全然内容が薄いじゃないか。スライドもほんとセンスねえな」と言われた男性は「自分だって納得のプレゼンができなかったのはわかっている。父親の介護で疲れているからかな。今日もストロング缶5本は飲まなきゃダメだな」とつぶやく。これはアルコール依存症になる危険な飲酒量だという。
また、上司から「B社に提案するときに足が見えるスカートで来てもらえない?」と言われた女性は「若い女性というだけで今日もお飾りのように扱われた」「さっきやけ食いしてしまったけど、この後トイレでリセットできるから大丈夫」との台詞で摂食障害であることがわかる。一方、上司も「部下が仕事ができないせいで、また部長からプレッシャーをかけられた。今日もこんなにストレスを溜め込んだんだから、帰りの電車の中でミニスカートをはいている女性のお尻を触ったっていいよな」と痴漢行為に走る設定だ。
これらのテキストは斉藤さんの著書『男尊女卑依存症社会』(亜紀書房)と清田さんの著書『おしゃべりから始める 私たちのジェンダー入門』(朝日出版社)を基に、登壇者らと話し合って田中さんが作成した。