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国際男性デーに記念イベント 
男性の生きづらさはどこからくる?

宮本有紀・編集部|2023年12月5日7:47PM

もっと弱さを出していい

 斉藤さんは家父長的な家で育ち男尊女卑の価値観をすり込まれた自分の体験を語り、「社会から押し付けられる“男らしさ女らしさ”に過剰適応して生きづらさを感じ、何らかの依存症に人はハマっていくのではないか。だから男性は仕事と依存症がセットで仕事の中でお酒やギャンブルを覚える。女性は性別役割分業で押し付けられた介護や育児などのケア労働によるストレスへの対処として万引きや摂食障害につながる」と解説。「性別役割分業の解体こそが、依存症を減らし健康性を高める一つの解決策ではないか」と指摘する。

「私は男尊女卑という概念に抗っている人生」と話す大貫詩織さん(左)と司会の田中めぐみさん。(撮影/宮本有紀)

 清田さんは、「ケア役割を免除されているのは男性特権と言われているが、それがゆえにスキルや経験が不足して自分や周囲の人間をケアできない。それが男性の苦しさ生きづらさにつながっているのかな。生産性とか効率を重視し、役立つことをしなきゃと思いこみすぎていて、育児休暇中に後輩に追い抜かれることで後れをとってしまうと悩む人もいる。人に頼るなという性規範や風潮にとらわれているなと感じる話が多い」と男性が「規範」にとらわれ苦しむ事例を紹介。負の感情を否定せずに向き合い、自分の弱さを出してもいいのではないかと提言した。

 大貫さんは「男性は弱みをさらけ出すと情けないと言われるとかプレッシャーを抱えていることは感じる。自分のパートナーとも、男性として生きて見える社会と女性として生きて見える社会はこんなに違うということを話し合いを重ねて分かち合えた。すぐには変わらないが、安心して話せる場所が社会の中に広がることで少しずつ変わっていくのではないか」と発言。イベントを終え、田中さんは「日本ではフェミニズムという言葉は誤解を生みやすいが、『泣くな、男らしく生きろ』と言われてきた男性ならではの生きづらさをほぐすものだと思う。社会構造や人間の仕組みを知ることで、多くの方の生きやすさにつながることを願う」と話した。

(『週刊金曜日』2023年12月1日号)

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