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紅麹問題、機能性表示食品制度の見直しが必要

宇都宮健児・『週刊金曜日』編集委員|2024年4月24日5:00PM

宇都宮健児・『週刊金曜日』編集委員。

 小林製薬が製造した紅麹原料を使ったサプリメント「紅麹コレステヘルプ」を摂取した結果、腎疾患を発症するなどして、これまでに5人が死亡し、全国で健康被害の訴えが相次いでいる。同社は1月15日に医師の連絡で腎疾患の症例を認識したが、消費者庁に報告したのは約2カ月後の3月21日であった。厚生労働省は、4月7日の時点で体調に異変を感じるなどして、延べ1224人が医療機関を受診し、延べ212人が入院したことが小林製薬からの報告で明らかになったと発表している。

 小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」は機能性表示食品として販売されてきている。

 機能性表示食品は、特定保健用食品(トクホ)と異なり、安全性や機能性に関して国の審査がなく、事業者が自主的に安全性と機能性を届け出る食品である。これに対し特定保健用食品は、安全性や機能性については国が審査を行ない、食品ごとに消費者庁長官が許可している。

 機能性表示食品制度は2013年6月、当時の安倍晋三首相がアベノミクスの柱の一つである「規制緩和による成長戦略」として「健康食品の機能性表示を解禁する」方針を示したことを受け、15年4月に導入されたものである。

 調査会社の富士経済によると、23年の機能性表示食品の市場規模は6865億円と前年比19・3%増となる見込みであり、18年の3倍超に急拡大しているということである。対照的に特定保健用食品の関連市場は、大幅に縮小してきている。

 日本弁護士連合会(日弁連)は、今年の1月18日、「機能性表示食品の表示規制や制度の在り方についての意見書」を公表している。日弁連の意見書は、現行の機能性表示食品制度は、食品の安全性や品質確保が事業者の自主点検や事業者団体による自主規制に委ねられており、消費者への情報開示、透明性の観点から見て、表示・広告規制の運用、安全性や機能性の科学的根拠を確保するための制度の運用がいずれも不十分であるため、制度の運用改善を求めている。

 今回の小林製薬の紅麹原料を使った機能性表示食品による健康被害は、安倍政権以来すすめられてきた食の安全に関する規制緩和政策が問われている問題だといえる。

 食の安全は健康・命に直結する問題である。機能性表示食品制度の廃止も視野に入れた抜本的見直しを行なう必要がある。

(『週刊金曜日』2024年4月19日号)

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