反貧困ネットワーク全国集会、台湾・韓国からも報告 「東アジアで連帯を」
竪場勝司・ライター|2024年4月25日5:42PM
一般社団法人反貧困ネットワーク(宇都宮健児代表理事)の全国集会が4月7日、東京・文京区で開かれた。台湾や韓国の団体も参加して状況を報告した。
初めに同ネットワーク事務局長の瀬戸大作さんが2023年度の活動報告。「行政の支援から外れてしまった人たちの支援が活動の中心になってきている」と指摘。居住支援に関しては34の個室シェルターを運営し、入居者は女性が増加。外国籍の入居者が全体の47%を占めている実態に触れた。
続いて「東アジア連帯シンポジウム」として「ホームレス支援と医療アウトリーチ(訪問支援)」「女性の貧困」「困窮者の居住貧困」の三つをテーマに日本・台湾・韓国の団体が活動報告をした。
台湾の社会福祉士や医師らで構成する「台湾思安慈善服務協会」は、4人のメンバーが「台北駅構内で暮らすホームレスに向けた医療アウトリーチ」のテーマで報告。医師を台北駅に連れて行きホームレスの人たちに診察を受けさせ、自身の病状をより理解できるようにしているという。また、台北市とも協力して医療支援を実施していることも紹介された。
韓国から参加した「開かれた女性センター所長」の徐貞花さんは、「韓国の女性ホームレス問題と支援政策」のテーマで報告した。
徐さんによると韓国ではホームレスを「露宿人」と呼び、11年にその自立支援に関する法律が制定され、人間らしい生活をする権利が明確にされた。韓国の露宿人は全体で約1万4000人おり、うち女性は約3300人。16年と21年を比較すると全体では約21%減少しているが、内訳を見ると女性が増えているという。
最後に「搾取する都市ではなく、包摂のまちを創るとともに、誰もが人間らしく生きる権利を実現するため、日本・台湾・韓国の反貧困運動の連帯を深め、行動する」との集会宣言が採択された。
(『週刊金曜日』2024年4月19日号)