大阪万博建設工事での爆発事故でガス濃度測定せず 子ども動員への反対広まる
平野次郎・フリーライター|2024年5月27日8:02PM
2025年に大阪市の人工島・夢洲で開催予定の大阪・関西万博に大阪府が子どもを無料招待する計画に対して親たちの不安が高まる中、3月28日に万博会場の建設工事で爆発事故が起きた(本誌4月12日号既報)。日本国際博覧会協会(万博協会)は4月19日に爆発事故の原因について公表したが、親たちの不安が現実に起きたことで万博への子ども動員に反対の動きが広まっている。
万博協会によると、爆発事故は万博会場西側のグリーンワールド(GW)工区の屋外イベント広場横のトイレ建設工事で、床下の配管ピットに溜まったメタンガスに溶接作業の火花が引火したのが原因で、コンクリート製床の約100平方メートルが破損した。配管ピット内の作業ではガス濃度を測定する規定になっているが、地上の作業であることから測定していなかった。GW工区は産業廃棄物を埋め立てた夢洲1区にあるためメタンガスが発生し続けている。
筆者の取材に万博協会は、夢洲1区にあるメタンガスを抜く管79本のうち、GW工区にある16本中の7本は移設工事を行ない、2カ所の交通ターミナル(駐車場)にある計21本はすべて移設する予定と説明。「今回の事故に対する再発防止策を徹底し、安全を最優先にして取り組む」と回答した。
この爆発事故にもかかわらず、大阪府は小中高校生を学校単位で無料招待する事業について、各学校に来場希望日や来場児童・生徒数などを連絡させる「意向調査」を5月31日までの期限で実施している。これに対し、大阪教職員組合など3団体は4月18日、安全性が確認されるまでは生徒招待事業とその意向調査を中止するよう吉村洋文知事らに文書で申し入れた。5月2日には「夢洲カジノを止める大阪府民の会」が「万博へ子どもたちを招待しないでください」と訴える第1次署名3936筆を吉村知事らに提出した。
(『週刊金曜日』2024年5月17日号)