「孤独な若者への支援にはデジタルツールが有効」 NPOがアンケート結果公表
竪場勝司・ライター|2024年5月31日2:08PM
親に頼れない若者たちの支援活動に取り組む特定NPO法人「D×P」(今井紀明理事長※)が、5月16日に東京都内で記者会見を開催。孤立・孤独や生活苦を抱える若者たちを対象に実施したアンケートの結果を発表した。
「D×P」は孤立しがちな10代をサポートしていこうとの目的で2010年に創業した団体だ。LINEを使ったオンライン相談「ユキサキチャット」を運営し、登録者数はコロナ禍前の約700人が現在は約1万3000人に急増。相談に加えて食糧支援と現金給付支援も行なっているが、その数や給付額も大幅に増えている。最近では22年度「休眠預金活用事業」として、他団体との協力で「孤立孤独/生活苦を抱える若者への緊急支援事業」も実施。この支援対象者は1万2765人にのぼり、今回のアンケートはこのうち2347人からの回答を得た。
それによると「どのような人や場所なら相談したいか」との質問には「無料」や「相手が同じ悩みを持っている」「匿名でできる」などが上位に。他方「誰にも相談したくない」と考える若者たちが挙げた理由としては「相談しても解決できない」(80%)、「相手にうまく(困りごとを)伝えられない」(63%)との回答が多かった。
こうしたアンケート結果からは若者支援におけるインターネットの活用の有効性が浮かび上がる。「D×P」では緊急支援事業の成果も踏まえ「悩みを抱える若者向け支援として、デジタルツールを用い、無料・匿名で、しかも『相談者と担当者が同じ立場や目線で交流できる』サービスが重要だ」と結論づけた。
理事長の今井さんは今後の活動について「若者たちは制度を知らなかったり電話相談ができなかったりと、さまざまな壁に阻まれている。オンラインの活用でいかに各種相談ができるようにしていくかが必要だ」と話した。
※「D×P」公式サイト https://www.dreampossibility.com/
(『週刊金曜日』2024年5月24日号)