辺野古「代執行」で市民団体が署名活動 「沖縄と対話を」国に求める
平野次郎・フリーライター|2024年5月31日2:32PM
沖縄県の辺野古新基地建設問題では、大浦湾の軟弱地盤に伴う設計変更を県に代わり国が承認した「代執行」を経て、防衛省が1月から同湾の埋め立て工事を強行。これに反対する各地の市民団体や個人が、7月開催の全国知事会に向け、それぞれの地域で署名活動などに取り組んでいる。
大阪では、沖縄県の玉城デニー知事が2019年に全国各地をまわる形で始めたトークキャラバンに呼応して市民団体「津々浦々の会」(以下、同会)が同年に発足。同会は4月23日に大阪府庁でオンライン記者会見を開き「地方自治を無視する国に沖縄との対話を求めるアピール」(以下アピール,24 https://appeals24.com/)を発表した。「辺野古の工事を一旦止め、『辺野古唯一』ではない解決策を沖縄県との対等な対話で模索することを国に求める」との内容で、これに賛同した人々が各地で自治体に向けた働きかけを行なっている。
会見では同会の松本亜季さんが過去の経緯を振り返ったうえで、「沖縄の基地問題に関心を寄せて活動してきたが、一向に止まらない国の横暴を前に、これ以上どう声を上げていけばいいのかという同じ思いの人たちがつながっていこうと考えた」と説明。代執行は日本政府による沖縄の自己決定権の剥奪であり、地方自治の破壊だと批判した。
同会のメンバーで、ひきこもり問題に取り組むNPO代表の高橋淳敏さんは、ひきこもりは個人ではなく社会の問題であり、沖縄に基地を押しつけ差別している問題と似た構造だと指摘。「国が地方自治を守るように全国の知事に訴えていくことを、自分たちの足元からやっていきたい」と訴えた。
同会では3月からアピール,24を呼びかけ、5月15日時点での賛同者は全国の計16団体と43個人。新潟、山形、福岡県など12都府県で知事への署名や市町村議会への陳情を含めた計19の活動を展開中だ。
(『週刊金曜日』2024年5月24日号)