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小池都政8年に「市民と野党共闘」の蓮舫氏が挑む 「古い政治との決別を」

畠山理仁・フリーランスライター|2024年6月11日5:24PM

メディア対応でも差

 蓮舫氏の出馬会見に多くのメディアが集まったのには、注目度の他にも理由がある。筆者のようなフリーランスも含め、報道目的のジャーナリストであれば誰でも参加可能だったからだ。

 一方、都庁では毎週金曜日に小池都知事の定例記者会見が開かれている。以前はフリーランスの記者も事前申請すれば参加できていたが、コロナ対応を理由に現時点での参加者は記者クラブの記者に限られるようになった。フリーランスの記者はリモート参加となり、小池知事に質問をしたくても指名されにくい状況になっている。

蓮舫参院議員の記者会見には大勢の報道陣が詰めかけた。いずれも東京都千代田区の立憲民主党本部で。(撮影/本田雅和)

 記者会見で今後のメディア対応について質問が飛ぶと、蓮舫氏はこう答えた。

「私たちが政権を持っていた時には、会見はこうしてフリーランスの方も、雑誌協会の方たちも記者クラブの方たちも入っていただきました。それは時として(私たち政治家側には)キツい時もありました。政権にとって、いい時ばかりじゃありませんから。それも声だと思って受け止めていたので、都知事の会見は見直すべきだと思っています」

 この記者会見では、小池都知事の経歴詐称疑惑についての質問が複数出た。蓮舫氏は「ご本人の学歴のことですから、私からどうこういう立場ではない。選挙に出るのであれば、それは当然、プロフィールも含めて、ご本人が説明しなければいけないと思っています」との態度を取っている。

 筆者は2020年6月、小池氏が2期目の出馬表明をした会見で「カイロ大学の卒業証書の提示は可能か」と質問した。小池氏は「カイロ大学がお認めになっている」と従来の回答を繰り返したが、筆者がさらに質問しようとすると、突然、「一人一問で」というルールが設けられた。筆者はそれ以来、小池氏に直接質問する機会には恵まれていない。

無関心層をどう起こす?

 蓮舫氏は東京都議会第2回定例会初日となる5月29日、立憲、共産、ミライ会議、無所属議員など野党系各会派を訪れ、出馬表明の挨拶回りをした。共産党の控室では花束を渡されるなど、終始和やかなムードだった。

 支援を表明する都議も「今までご縁のなかった方からも『蓮舫さんに決まって良かった。本気で応援します』とメッセージがきて驚いている」と笑顔を見せた。

 蓮舫氏の出馬が報じられる前の5月18~19日の2日間、JX通信社が東京都内の有権者2299人を対象にインターネットを使って実施した調査の結果も興味深い。この調査では、小池知事支持・不支持ともに33%で拮抗。小池都政「継続望ましい」が24%、「交代した方がよい」には42%という結果が出ている。

 しかし、小池氏は4年前の都知事選で一度も街頭に立つことなく、約366万票を獲得して圧勝した。現職としての公務がメディアで報じられることが実質的な選挙運動になっていた。今回の選挙戦でも、小池氏が軸になるのは間違いない。

 しかし、今回の都知事選には、広島県安芸高田市長の石丸伸二氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏、タレントの清水国明氏なども立候補を表明し、史上最多の22人以上が立候補すると見られている。票が各候補へ分散すれば、当選ラインは下がってくる。

 それぞれの支持層の票をどれだけ固められるのかはもちろん、無党派層や無関心層の票をどれだけ伸ばせるかが勝負の決め手となるだろう。

 前回都知事選の投票率は55%(当日有権者数1129万229人)で、508万人以上が投票していなかった。この「眠れる票」を掘り起こすのは誰か。それとも全国的にも注目を浴びる今回の首都決戦でさえ、多くの有権者は眠ったままなのか。候補者とともに、有権者も、そして都民以外の全国の市民も問われている。

(『週刊金曜日』2024年6月7日号)

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