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東電「強制起訴」裁判の告訴人らが草野耕一判事を批判

明石昇二郎|2024年6月11日6:57PM

【コラム】
草野耕一判事を批判する 「名指し署名」の趣旨

 裁判官は、中立・公正な立場に立っていなければならないことはもちろんとして、外見上も中立・公正であることが求められる。最高裁も、1998年12月1日の最高裁大法廷決定で「裁判官は、独立して中立・公正な立場に立ってその職務を行わなければならないのであるが、外見上も中立・公正を害さないように自律、自制すべきことが要請される」としている。

草野耕一判事。(司法大観より)

 そして現在、東京電力「強制起訴」刑事裁判が審理されている最高裁第二小法廷に席を置く弁護士出身の草野耕一・最高裁判事は、最高裁判事への就任前、750人以上の弁護士を抱える巨大法律事務所「西村あさひ法律事務所」の代表経営者だった。同法律事務所は、東電との深い関わりがあることでも知られる。

 同法律事務所の共同経営者である新川麻弁護士は、21年から東電の社外取締役に就任。国と東電に賠償を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟)などが最高裁で審理されていた最中のことだった。

 同法律事務所は、東京電力や東電の名を冠した関連会社に対し、出資や株式取得に関する法的アドバイスを行なったと、事務所のホームページで堂々とPRしている。また20年12月には、同事務所顧問で元最高裁判事の千葉勝美弁護士が、東電からの依頼で「元最高裁判事」の意見だとして、最高裁で審理中だった生業訴訟に対し、東電と国の賠償責任を真っ向から否定する専門家意見書を提出していた。ちなみに、生業訴訟などに対する22年6月17日の最高裁判決(福島第一原発事故での国の責任を否定)で裁判長を務めた菅野博之氏は、最高裁行政局時代に千葉氏から指導を受けていた「後輩」だった。

 つまり、東電とそうした深い因縁を持つ法律事務所の経営者だった経歴を持つ草野判事は、「外見上も中立・公正を害さないように自律、自制すべきことが要請される」ことから、東電刑事裁判の審理から自ら身を引くべきだとして、本稿で紹介した「名指し署名」が始まった。

 草野耕一・最高裁判事に対する「名指し署名」は、紙の署名とオンライン署名の両方で現在も続けられている。

(『週刊金曜日』2024年4月5日号)

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