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松山地裁、伊方原発運転差止訴訟結審 活断層評価の変遷や避難の困難性、司法の役割を指摘

脱原発弁護団全国連絡会|2024年7月5日2:42PM

 6月18日、松山地裁係属の伊方原発運転差止訴訟の第40回口頭弁論期日が開かれた。最終弁論では、原告2人と代理人弁護士が意見を述べた。

松山地裁前まで行進する原告、弁護団、支援者ら。(提供/脱原発弁護団全国連絡会)

 原告共同代表の須藤昭男さんは、キリスト教会設立のために52年前にひとり松山に来たという。故郷の福島での福島第一原発事故に衝撃を受け、このような事故を繰り返してはならないと伊方原発運転差し止めを求め、福島の被災地にも訪れていた。今回の最後の意見陳述のためにあらためて福島を訪れ、被災地の人々の声を聴き、事故から13年が過ぎても復興とは無縁の荒涼とした風景を目にしたことを述べ、原発によってこれ以上血も涙も流れないように司法判断してほしいと述べた。

 続いて、原告の大野恭子さんは、1987年提訴の第1次伊方裁判の支援に携わった経験から、伊方原発はもともと活断層がない前提で建てられたが、裁判係属中の96年の岡村眞高知大学教授(当時)の発表により、国と四電が中央構造線が活断層であることを認めざるを得なくなった経緯を指摘した。障害者支援施設の責任者として、事故が起きれば避難を強いられるが、受け入れる場所もなく、逃げられたとしてもその後の保障はないことは福島第一原発事故後のいまの国の棄民政策から明らかであること、最後の砦である裁判所に過ちを起こさぬ判決をお願いしたいと1502人の原告の思いを代表し述べた。

 最後に弁護団を代表して薦田伸夫弁護士は、能登半島地震の被害の甚大さ、珠洲原発と異なり運転中の伊方原発は中央構造線の直近に立地しており、重大事故は不可避であること、三次元探査等もしないまま、自然的立地条件を十分に把握したと主張する被告四電は傲岸不遜(ごうがんふそん)だと断じた。そして、本件訴訟は住民の命や生活が懸かった訴訟であり、裁判所は地震の発生を止めることができないが、原発の運転は止めることができる、裁判所には本来の弱者救済という使命を果たし、差止判決をすることを信じると、提訴から約12年半の闘いを信念のこもった言葉で締めくくり、法廷では拍手が広がった。

 菊池浩也裁判長は、判決言い渡し期日を25年3月18日14時半と指定した。

(『週刊金曜日』2024年6月28日号)

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