東京・中野で「ヘイトスピーチをゆるさない」団体結成 差別投稿区議の地元で訴え
石橋学・『神奈川新聞』記者|2024年7月16日4:31PM
地域社会から差別根絶の声を上げようと、市民団体「ヘイトスピーチをゆるさない中野」が東京都中野区で結成された。有権者の責任として「公人のヘイト」を止めることが目的だ。
きっかけは同区の吉田康一郎区議がツイッター(現X)でフォトジャーナリストの安田菜津紀さんへの差別を煽動したことだ。2022年7月、安田さんを名指しして「父親は在日コリアン2世で、元韓国籍、後に日本国籍を取得」と投稿した。すると「日本国籍を抜いて、さっさとお帰り下さい」「汚鮮」「反日で商売している」という差別投稿が蔓延。3日間で確認できただけで92件に上った。
同団体は6月9日に中野駅前で最初の活動となる街頭宣伝を実施。安田さんのコメントを読み上げた。
「ヘイトスピーチは社会的な力の不平等を背景に向けられた側に恐怖心を抱かせ、沈黙を強いる。表現の自由は『差別の自由』ではないことを明確にした上での対策が生活の場である地域社会からも不可欠。ヘイトに抗う仕組みを共に築き、育てていきましょう」
呼びかけ人でライターの和田静香さんは「加害を止めるには地元の区民が声を上げることだと思った。差別する人物を議員にさせた責任がある」と話す。
東京都知事選挙に際しては隣の杉並区や練馬区、武蔵野市の反ヘイト団体と連名で要望書を提出。小池百合子知事に挑んだ蓮舫氏には関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者の追悼式典に追悼文を送ると公約に掲げて選挙を戦ってほしいと求めた。虐殺の歴史を認めず、追悼文送付を17年から拒み続ける小池氏では「東京に暮らすすべての人々の命と人権は守られない」と断じ、蓮舫氏を後押しした。
和田さんは言う。「公人のヘイトは煽動の力が強く、そこから止める必要がある。抑止する条例をつくるのが最終的な目標で、蓮舫さんなら期待ができる」
(『週刊金曜日』2024年6月28日号を一部修正)