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別姓訴訟 東京地裁で初弁論 「選べる社会」を次世代へ

宮本有紀・編集部|2024年7月16日5:03PM

 選択的夫婦別姓を認めない現行の民法や戸籍法の規定は、婚姻の自由を保障する憲法違反だとして、双方が姓を維持したまま婚姻できる地位の確認などを国に求める「別姓訴訟」の第1回口頭弁論が東京地裁で6月27日に行なわれた。選択的夫婦別姓を求める集団訴訟は3回目で、今回の原告は事実婚5組と法律婚1組の12人。東京地裁に提訴した原告5組のうち3組が27日に意見陳述した(1組は札幌地裁に提訴)。

入廷する原告と弁護団ら。東京地裁の次回期日は9月20日の予定。(撮影/宮本有紀)

 法律婚をしたのちペーパー離婚をして現在は事実婚の内山由香里さん(56歳)は「職場で通称使用はできたが戸籍姓の力は絶大。銀行口座も名義変更しないと給与が振り込まれなくなり、運転免許証、クレジットカード、保険も名義変更が必要。私の名前は社会的に抹殺されていった。戸籍名を使うことは他人の靴を履いているような違和感が常にあった」「別姓はわがままとの誹謗中傷も受けたが、男性は姓を変えなくてもわがままと言われない。これが男女差別でなくて何なのか」と訴えた。

 根津充さん(仮名50歳)は「女性が姓を変えることに疑問を抱かず生きてきたが(妻の話をきいて)男女の立場を入れ替えて考えた。周囲の圧力や無理解に苦しむ辛さ、無力感は想像に難くない。改姓の痛みは表面的な激しさに欠けるため軽く扱われるが、『生涯にわたって静かに自分を否定され続ける痛み』ではないか」と陳述した。

 弁論後の会見で、黒川とう子さん(仮名51歳)は「中学生の娘は選択肢がほしいと言っている。現行制度は娘の世代には引き継ぎたくない」、内山さんは「長女は法改正が間に合わず結婚したが、次女の方は間に合わせたい」と述べ、「選べる社会を次世代に渡したい」との思いをそれぞれ表明。小池幸夫さん(66歳)は選択的夫婦別姓に関する記者会見での岸田文雄首相の対応に言及し、「煮え切らない内容で政治に期待できない。裁判所にぜひとも違憲判決を出していただきたい」と求めた。

(『週刊金曜日』2024年7月5日号)

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