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自民裏金問題、検察の告発不受理で市民団体が不服申立て

薄井崇友・フォトジャーナリスト|2024年10月17日4:22PM

「裏金議員は有罪だ! 自民党は総裁選で裏金脱税をごまかすな」

 パーティ券裏金事件をめぐり自民党が総裁選でこれを水に流すかのような動きを見せていることに対して8月27日、東京・墨田区の東京簡易裁判所墨田庁舎前で怒りの声が上がった。パーティ券問題の中枢とされる、いわゆる安倍派5人衆(萩生田光一、西村康稔、松野博一、高木毅、世耕弘成の各議員)をはじめとする有力議員らを告発していた市民団体「自民党のウラガネ・脱税を許さない会」(藤田高景代表。本誌2月9日号と3月15日号で既報)が、東京地方検察庁が告発状を受理しなかったことについての不服申立書を、同庁舎内にある検察審査会に同日提出。第三検察審査会が受理した。

東京・検察審査会のある墨田区内での「自民党のウラガネ・脱税を許さない会」のメンバーによるデモ。(撮影/薄井崇友)

 申立書では「被疑事実の要旨」として、非課税収入となるためには収支報告書の提出が前提となるにもかかわらずパーティ券のうち「別紙売上金目録記載の売上金を正当な理由もなく申告書に記載せず、もって当該各売上金に対する所得税の課税を免れた」ことを挙げて「所得税法違反」(脱税)と指摘し、萩生田議員の合計1952万円をはじめ14人分の不記載の売上金目録を別紙で添付。検察の不起訴処分は「不当」だとした。

 加えて、不記載が総額3000万円以下の議員らが起訴猶予であることについては「金3000万円で『線引き』する法的根拠はな」いと前置き。「検察は一連の捜査を通じて、いつ、誰が、いくら裏金を得ていたかを詳細に把握している。にもかかわらず、何ら捜査権限のない国民に対し、金額が特定されていないなど『極めて瑣末なこと』を理由に、告発状の受取りを拒否し、裏金議員を一切不問にした」として監査を申し立てている。菅義偉元官房長官(前首相)を官房機密費業務上横領で告発していた案件の不受理についてもあわせて不服申立書を提出した。

総裁選でごまかす気か

「検察審査会」は検察官が被疑者を起訴しなかったことのよしあしを、20歳以上の選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人が審査員として審査する制度。審査のうえでなされる議決は「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」の3通り。選ばれる市民は刑事事件の知識を持たないのが普通だ。

 今回の申立てをした「許さない会」の藤田代表らは当日、墨田庁舎前を「検察審査会は国民の代表だ!」と書かれたカードなどを掲げつつデモのうえ申立書を提出。その後、都内霞が関の司法記者クラブで藤田代表のほか有識者として元経済産業省官僚の古賀茂明氏に代理人弁護士2人が記者会見した。

 自民党の裏金問題などについて藤田代表は「倫理の底が抜けた非常識極まりない行為」と前置きのうえ、「総裁選でテレビ・新聞をジャックして、裏金問題をまるでロンダリングしている」と糾弾。古賀氏は検察の対応について「市民の側を見なければいけない検察が権力側ばかり見ている」と批判した。弁護士の長谷川直彦氏は、「一般市民に今回の検察の対応でいいのかを判断してもらいたいという趣旨での申立てだ」と強調した。

 もしこの申立てが不調に終わった場合の「次の手は?」との問いに藤田代表は「万事休すです。民主主義は今、徳俵にある」と返答。同じ質問に古賀氏は無言で“そんなことがあるわけがない”と言わんばかりの険しい表情をした。

(『週刊金曜日』2024年9月6日号)

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