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10・11国際ガールズ・デー 「女性はかくあるべし」の固定観念から女子を解放

山田道子・ライター|2024年11月25日9:04PM


 女性が能力や個性を十分に発揮できる社会は、国際的なジェンダー目標の一つだ。だが、社会に出る前に、家庭や学校、地域社会で「女性はかくあるべし」というジェンダー・バイアスが埋め込まれ、女性の進出を阻んでいるのではないか。その問題意識から、ジェンダー平等と包摂を目指して活動する国際NGOプラン・インターナショナル(以下、プラン)が10月11日に東京・港区で、若年女性のエンパワーメントを啓発するイベントを開催した。

辻愛沙子さん制作の展示「改革新聞」。「変わらない日本」の記事がズラリと並び、それを破って、くぼここなさんが顔を出す。(撮影/山田道子)

 同日は国際ガールズ・デー。プランのキャンペーンがきっかけとなり、国連総会が2011年に採択した記念日で、「女の子の権利」促進を呼びかける日として世界各国でさまざまな催しがなされている。今年の主題は「PLAN GIRLS MOVEMENT 2024~私の声が未来をつくる」。事前に25歳以下を対象に、女の子が勇気をもって声を上げたことで実現した変化などを表現したエッセイや動画を募集。イベントでは、優秀作品「プラン・ガールズ・アワード」を発表し、表彰式が行なわれた。

 なぜ「私の声が未来をつくる」のか。プランの小泉美礼チーフ・マーケティング・オフィサーは、プランが発表した「ガールズ・リーダーシップ・レポート2023~女の子および若年女性がリーダーになるための政策提言書」を理由に挙げる。

 提言書では、固定化されたジェンダー・ステレオタイプが日本の15~24歳の女性の自尊心の低さや進路選択の制約につながり、将来に大きな影響を及ぼしていると分析。また、海外に比べ、日本の若い女性は自分の能力に対する自信が低かった。そこで、自信を持てる機会を作るためコンテストを実施したという。「ジェンダー・バイアスを正すのは社会に出てからでは遅い」と小泉氏は断言した。

 コンテストのエッセイ部門ガールズ・エンパワーメント賞は私立中高一貫校5年の〝ことちゃん〟。地方の小学校6年生の時、都心の進学校に進む話が持ち上がった。父や祖父母が反対したが、「行きたい」と宣言し、入学することになった。「今後も責任と覚悟を持って声を上げ続ける一方、潜んだ声に気づいてあげられる存在になりたい」と記した。

先人のバトンを引き継ぐ

 Ladyknows賞を受賞した〝すもも〟さんは、保育職場でアルバイトする大学院生。障害児からの性的接触について、女性職員だけに「自衛」が求められることに疑義を抱き、声を発して改善につなげたことを描いた。同賞の看護師の〝とかげくん〟は、認知症の患者への身体拘束について、「看護師がそばにいる時だけでも外しませんか」と会議で提案し、実現させた。「新人で未熟な私の声が患者の未来を変えた」とつづる。選定に携わったエッセイ投稿メディア「かがみよかがみ」の伊藤あかり編集長は、「集まったエッセイの共通点は動機。『女の子だから声をあげにくいという思いを後輩たちにさせてはいけない。私たちで終わりにしたい』ということだと思いました」と講評した。

 動画部門の「プラン・ガールズ・アワード」は、高校3年生のくぼここなさん。体育祭である組の団長に選ばれ、「みんなに指示を出していいのか」と悩みながら挑戦し、優勝を果たした。「まわりの人に『やってみたら』と言われたことが自信につながった」とくぼさんは振り返った。

 イベント会場の外では、国内外のジェンダー・ギャップの状況、日本の男女平等の歩み、歌人の与謝野晶子や米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグなど女性の権利を訴えた偉人の言葉などを展示。多くの人が見入っていた。 制作は、クリエーティブディレクターで広告会社arcaを経営する辻愛沙子氏(28歳)。辻氏は「女性が投票することも働くことも当たり前の時代。そんな当たり前も、当たり前でない時代に誰かが築いてきた。今も残るジェンダー・ギャップに絶望する女の子たちに、先人のバトンを引き継ぎ、次に変えるのは自分たちと思ってほしいと考えました」と制作の意図を話した。

 会場の若々しさに少し疎外感を抱いたが、先人から未来へと繋ぐ一員であらねばと再認識した。

(『週刊金曜日』2024年10月25日号)

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