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青森地裁、六ヶ所再処理工場口頭弁論 産総研が六ヶ所断層を認定
澤井正子(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団)|2024年12月2日6:26PM
六ヶ所再処理工場の訴訟において、最大の争点は地盤問題だ。特に、基準地震動決定のため選定される敷地近傍の活断層について、原告側は渡辺満久教授(東洋大学)らが学会等で発表してきた六ヶ所断層、さらに六ヶ所断層をその一部とする大陸棚外縁断層の存在を認めるよう、主張を続けてきた。
この過程で、原告らは産業総合研究所(産総研)地質調査総合センターが2021年3月31日に発行した『20万分の1地質図幅「野辺地」(第2版)』(工藤崇ほか)に、「六ヶ所撓曲=六ヶ所断層」が掲載されことを確認し、この意義について9月27日の口頭弁論期日に、準備書面を陳述した。同図幅第1版発行からすでに57年が経過し、また『20万分の1地質図幅』シリーズが完成し、60年代のデータの古い物が全面的に改訂された。その大きな要因は、図幅の大部分を占める下北半島にたくさんの原子力施設が建設され、原子力事業者による膨大な地質データが様々な形で報告されていることだ。
つまり原子力規制委員会の審査のために作成する申請書をはじめとする図書類等で、各社とも合格のために相当な費用負担を負っているだろう。地質調査総合センターからは、データの提供を受けたことに謝辞も述べられている。これは事業者(特に日本原燃)には相当な皮肉で、同社の主張する出戸西方断層の隣に、六ヶ所撓曲が出戸西方断層より長く鮮明に記載されている(地図参照、傍線は編集部)。明治期の地質調査所以来の歴史を誇る日本の地質図作成の基幹的組織地質調査総合センターによって、六ヶ所断層はその存在が認定された。これは地理関連、地形関連、地質関連の学会等からも認められたことを意味する。日本原燃の主張や原子力規制委員会の安全審査で完全に無視されてきた六ヶ所断層は、日本標準となった。
今後は六ヶ所再処理工場の安全審査が、科学的・学術的な検討から乖離した異様な内容で進められている実態を明らかにしたい。次回口頭弁論は12月20日。
(『週刊金曜日』2024年10月25日号)
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