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女性議員過去最多で15・7% 女性候補3割超の政党は参政、共産、れいわ

山田道子・ライター|2024年12月10日6:14PM

 10月27日投開票の総選挙で、女性の当選者は73人、15・7%と過去最多となった。女性当選者73人のうち、小選挙区は35人、比例区は38人。党別に見ると最多は立憲民主党の30人で、次に自民党の19人。当選者数が多い両党が押し上げたとみられる。とはいえ15・7%では「男女均等」には程遠い。

 政府は2020年策定の「第5次男女共同参画基本計画」で、25年までに国政選挙の候補者の女性割合を35%にすると掲げている。また、18年施行の「政治分野における男女共同参画推進法」では、候補者数が「男女均等」になるよう努力義務も課されている。今回は23・4%にとどまり、いずれにしても目標達成への道は遠そうだ。

 今回、女性候補者は314人、23・4%と過去最多ながら3割にも満たない。3割を超えた政党は、参政党37・9%(女性候補者数36人)、共産党37・3%(同88人)、れいわ新選組34・3%(同12人)だ。

 躍進した立憲民主党は、全候補者237人のうち53人、22・4%の女性を擁立。自民党が擁立したのは55人、16・1%と2割未満だが、21年の前回総選挙の33人、9・8%からおよそ7割増で同党としては過去最多だった。石破茂首相が、派閥裏金事件に関係した議員の公認や比例代表への重複立候補を見送る一方、女性や若者を積極的に擁立した結果のようだ。

政党別候補者と当選者の女性比率。

当選者の女性比率変遷。

「過去最多となったこと自体はよかった。少し前に進んだ」とみるのは、『毎日新聞』論説委員の北村和巳氏。ただし、選挙期間中の社説で「ジェンダー平等」を訴えた同氏は、「候補者数自体が全体の23・4%では足りない。このような現状では来年までに女性候補35%の目標達成は難しい」と指摘し、「そもそも女性何割ではなく男女同率であるべきだ」と話す。

 特に北村氏が問題視するのは自民党。女性候補55人のうち小選挙区は25人、比例単独が30人。各ブロックの比例名簿では小選挙区との重複立候補者の下に比例単独の女性新人候補が並んだのが目立ち、「穴埋め」のようだったという。小選挙区に出にくい女性を比例区に優先配分するという考えがあるが、比例の順位名簿のあり方の問題を浮かびあがらせた。

当選の次は「育てる」

 全女性議員73人のうち、新人は32人と4割超。北村氏は「数を増やすとともに、国会入りした女性議員がさらに当選を重ね、キャリ

アを積み意思決定層に入るようにしなければ政治は変わらない。そのための積極的な措置をとることが必要だ」と強調する。

 超党派国会議員による「クオータ制実現のための勉強会」事務局長でジャーナリストの長野智子氏は、女性議員が増えたことを評価。「世襲男性議員が多い極めて同質性の高い世界に女性議員が増えることは多様な視点をもたらし、リーチできる政策を広げる。これは女性のためだけではなく、生きづらさを感じている男性を含め全ての人にとってよいこと」とし、「国会議員が女性9割で男性1割だったら男性議員を育てようとなるはず。男女にかかわらず、新人議員を育てようという視線を持つことも重要」と話した。

 そして、「25年までに女性候補35%」の目標に対し、政党は努力不足だと苦言を呈する。「勉強会をやっていて痛感するが、有権者の女性議員に対する違和感は格段に減っている。国会の方が完全にガラパゴス化している。前に進めていかなければならない」と、政党に努力を求めた。「困った時の女性頼み」で女性を擁立するのではなく、多様な現実社会を反映する国会にしなければならない。

(『週刊金曜日』2024年11月8日号)

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