国会前“憲法大行動” 護憲勢力の闘い方示す場に
薄井崇友・フォトジャーナリスト|2024年12月26日4:54PM
与党を過半数割れに追い込んだ総選挙が終わってから1週間後の11月3日、日本国憲法公布から78年のこの日、東京・永田町の国会議事堂前では「憲法変えさせない!戦争反対!今こそ平和と人権11・3国会大行動」が開催された。共催したのは「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」「9条改憲NO!全国市民アクション」。当日は主催者発表で約2300人が参加した。
10月27日に投開票の総選挙では立憲民主党やれいわ新選組が議席を増やした一方、改選前には衆議院総定数の3分の2(310議席)を上回る334議席を持っていた憲法改正に前向きな勢力(自民、公明、日本維新の会、国民民主各党と無所属会派)が285議席に減少。改憲を掲げて新たに議席を得た日本保守党(3議席)や、無所属で当選した旧安倍派議員らを加えても改憲発議に必要な総定数の3分の2に遠く及ばなくなり、改憲機運は大きく後退した。
そうした中で行なわれた今回の「大行動」。参加者らは選挙での成果を称え合い、思い思いの主張を描いたカードを掲げるなどしてアピールした。オープニングではシンガー・ソングライターと俳優の2人からなる女性音楽ユニット「公園でchill」が「裏金ため込んだ“汚い手”で憲法に触るな!」と歌声を披露。主催者あいさつに続き、国会からは福島みずほさん(参議院議員・社民党党首)、小池晃さん(同・共産党書記局長)、有田芳生さん(衆議院議員・立憲民主党)が発言(以上、登壇順)。識者として高山佳奈子さん(京都大学教授・刑事法学)が登壇した。
有田さんは今回の総選挙で東京24区(八王子)より立候補。対戦相手で旧安倍派領袖の萩生田光一候補を僅差まで追い詰めた自身の闘いを「真っ当な野党・労働組合と市民の力を合わせた結果。これからの野党のあり方は明らかだ」と振り返った。今回は自民・公明を15年ぶりに過半数割れに追い込んだほか、東京都では野党側議席獲得数が増加。「来年は都議選、参議院議員選挙があり、総選挙も遠からずもう一度やってきます。その時こそ政権交代を果たせる局面にあることを確認し合いたい」としたうえで安倍政治・統一教会・裏金と政治問題が続出する現在を歴史の圧縮過程にあると分析。「過去は変えることはできないが、未来は私たちの力で築き上げることができる。新しい日本のために新しい一歩を踏み出していこうではありませんか」と訴えた。
市民からは木更津(千葉県)と横須賀(神奈川県)からそれぞれ「オスプレイ問題」「トマホーク配備問題」について報告された。さらに主催者による行動提起と、「総がかり行動」共同代表の菱山南帆子さんが発した力強いコールのもと、参加者らは国会議事堂に向けて拳を突き上げながら「改憲発議許さない! 戦争する国・絶対反対!」などの声を響かせた。
(『週刊金曜日』2024年11月15日号)