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「自民一強」時代の終わりの始まり

宇都宮健児・『週刊金曜日』編集委員|2025年1月22日6:59PM

宇都宮健児・『週刊金曜日』編集委員。

 2024年10月27日に行なわれた衆院選では、自民、公明の与党が、過半数割れし、09年以来の歴史的大敗を喫した。

「政治とカネ」の問題に対して自浄能力のない政権与党に、主権者である国民が、審判を下したものと言える。

 また、今回の衆院選では改憲勢力が3分の2を割り込んだ。この結果、改憲勢力は現在の国会において、改憲の発議ができなくなった。国民は賢明な判断をしたと思う。

 与党はこれまでのように「自民一強」の下、国会において「数の力」で法案や政権の重要方針を強引に押し通すというようなことができなくなった。“少数”与党は、野党の主張も尊重して国会での活発な議論を行ない、合意形成をめざすことが求められる。これこそ議会制民主主義の本来あるべき姿とも言える。

 このところの円安物価高で生活に困窮している人が増加してきている。東京都内で生活困窮者支援団体が行なっている食料支援の現場に並ぶ人々は、コロナ禍前の数倍に膨れ上がっている。

 コロナ禍前は路上生活者が多かったが、最近では路上生活者より、円安物価高で生活が苦しくなった年金生活者、生活保護利用者、シングルマザー、非正規の若者などが多数を占めている。

 衆院選の最大の争点は、自民党の政治資金パーティの裏金問題、すなわち「政治とカネ」の問題であったが、政権与党が過半数割れに追い込まれ、歴史的大敗を喫した背景には、円安物価高で苦しむ国民の怒りがあったと思われる。

 28日召集の臨時国会では、与野党一致して政治資金の抜本的改革に取り組む必要がある。先の通常国会では不十分だった裏金の実態解明はもちろん、使途公開が義務づけられていない政策活動費の廃止、国会議員に毎月100万円が支給されている調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開、企業・団体献金の禁止など政治資金規正法の抜本的改正が求められている。

 自民一強の時代が終わり、与野党伯仲になった今こそ、政治資金規正法の抜本的改正を実現しなければ、与野党ともに国民の信頼を失ってしまうであろう。

 また、政権与党が過半数割れに追い込まれた背景にあった、円安物価高で苦しむ国民生活に対する対策も待ったなしである。

(『週刊金曜日』2024年11月29日号)

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