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民間の空襲被害者、シベリア抑留者の支援団体などが訴え 「残された戦後処理」解決を

竪場勝司・ライター|2025年1月23日8:56PM

 民間の空襲被害やシベリア抑留被害などの「残された戦後処理問題」をめぐる集会が2024年12月3日、東京の衆議院第二議員会館で開かれ、四つの被害者団体の関係者が問題の立法的な解決を訴えた。

 集会は太平洋戦争の開戦から83年となる12月8日を前に、戦争による犠牲や差別がいまだに放置され、救済が求められている問題を、戦後80年の25年夏に向けて立法的に解決することを政府や国会議員、メディア、社会にアピールするために開催された。

民間人空襲被害者の救済法制定を訴える河合節子さん(中央)。(撮影/竪場勝司)

 主催者は全国空襲被害者連絡協議会(各地の米軍による空襲の犠牲となった民間人被害者の問題)、民間戦争被害の補償を実現する沖縄県民の会(地上戦や艦砲射撃の犠牲になった南洋諸島や沖縄の民間人被害者の問題)、韓国・朝鮮人元BC級戦犯者「同進会」&「同進会」を応援する会(台湾や朝鮮半島から動員された外国籍の元BC級戦犯者の問題)、シベリア抑留者支援・記録センター(戦後ソ連に抑留され命を奪われたり、強制労働させられたりした外国籍抑留被害者の問題)の4団体だ。

 過去にこれらの問題では解決を求めた裁判も行なわれてきたが、いずれも請求は退けられている。「残された道は立法による解決だ」として、現在は4団体が連携して運動に取り組んでいる。シベリア抑留者には特別給付金を支給する特措法があるが、他の3団体については当事者を救済する法律がなく、旧植民地出身者など外国籍の人は対象から除外されている。

 集会ではまず、次のような内容の共同アピールが発表された。

「戦争の準備には巨額の税金を投入しながら、かつての戦争の後始末には目をつぶり、『戦後処理は終わった』との勝手な主張で、被害を受けた自国民や元日本国民(旧植民地出身者)を切り捨て続ける国の姿勢には深い疑問と失望を禁じ得ません。明らかな差別と深刻な不条理が放置されています。法律を制定して、日本社会が公式に歴史的な人権問題・人道問題を認知し、その救済に取り組み、教訓と記録を残し、継承することは、平和な未来に向けた国家の責務です。『戦後80年』を前に、未解決の課題をこれ以上放置すべきではありません」

避難者差別の実態も報告

 続いて、4団体の関係者が次々と登壇して、問題の解決を訴えた。

 全国空襲被害者連絡協議会(全国空襲連)運営委員長の黒岩哲彦弁護士は立法作業の現状について「今までは要綱案だったが(超党派空襲議連の指示を受け)衆院法制局から法律の条文が提案され、全国空襲連でも検討を進めている。条文案には詳しい前文が付き、前文として充実したものが提案されたと思っている」と説明。内容的には従前通りの限定的なもので①生存している障害者に一回だけ50万円を支給、②空襲に関する実態調査の実施、③平和を祈念する事業の実施――となっているが、「法律で担当省庁を確定し、国会で担当の委員会を決めて正式な議論の場を設け、ぜひともこの法律を作っていきたい」と報告した。

 同じく全国空襲連の河合節子さんは「1945年3月10日の東京大空襲では私の家族も殺された。それ以降、各地で無差別虐殺の日々が続き、民間人の犠牲者はどんどん増えていった。全国の民間人犠牲者が何人だったかはわかっていない。政府が責任を持って全国調査をしたことがない」と指摘。軍人や軍属だった人に遺族年金や恩給が支払われている一方、たとえば空襲で焼け出されてバラバラに疎開した人々が避難先でも差別を恐れ、空襲避難者であったことを隠して生きてきたために自らの権利をまとまって主張することができなかった実態にも言及しつつ「日本政府は民間人の戦争被害に対して見て見ぬふりを80年も続けてきた。被害者が生きているうちに、民間人被害者の救済法を成立させてください。実態調査を行ない、追悼施設を設置して後世に伝えることが、死者たちへのせめてもの償いだと思う」と訴えた。

 4団体はこの日、共同アピールと同趣旨の要請文を、石破茂首相宛てに提出した。

(『週刊金曜日』2024年12月13日号)

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