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「核のごみ」最終処分場選定の第二段階へ進められるのか 北海道知事は反対崩さず

佐藤和雄・「脱原発をめざす首長会議」事務局長|2025年2月6日7:33PM

 今年度中に決定する第7次エネルギー基本計画で、石破茂政権は原発の新増設へと踏み込むのではないか、という見方が広がっている。原発の新増設は「3・11」からの「可能な限り原発依存度を低減する」という大方針の転換であり、原発依存社会を長期的に認めることにつながる。一方、原発が抱える最大の問題である「核のごみ」と呼ばれる高レベル放射性廃棄物の最終処分について、本当に実現できるのかとの疑いを強める出来事も起きている。

オンライン記者会見で文献調査の問題を説明する岡村聡・北海道教育大学名誉教授。(会見映像から)

 原子力発電環境整備機構(NUMO)が、最終処分場選定に向けた第一段階である「文献調査」の報告書を、全国で最初に調査地となった北海道の寿都町と神恵内村の両首長、さらに鈴木直道知事に手渡した際、鈴木知事が次の段階の「概要調査」に進むことに改めて強く反対する考えを示したのは、11月22日のことだった。

 鈴木知事は、説明のために来庁したNUMOの山口彰理事長に対してこう述べた。

「かりに概要調査に移行しようとする場合には、道内における処分場を受け入れる意思がないという考えに立ち、制定された条例を踏まえ、現時点において反対の意見を述べることに変わりがないということを、まずは冒頭申し上げたい。(核のごみ問題が)結果として北海道だけの問題になってしまうことを懸念している」

「制定された条例」とは、別表にある通り2000年10月に公布・施行された「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を指し、この条例は特定放射性廃棄物の持ち込みについて「受け入れ難いことを宣言する」と述べ、強固な反対姿勢を示している。

 政府も、当時の安倍晋三首相の答弁書にあるように「知事の意見に反しては、概要調査地区等の選定は行われないもの」との方針を鮮明にしている。少なくとも北海道では制定された条例と知事の意向を変えない限りは、概要調査に進むことはできない。

専門家からの疑問も

 北海道の条例と知事の姿勢に関する問題とは別に、文献調査の内容への疑問も専門家から指摘されている。原子力資料情報室は11月27日、オンラインの記者会見を開催。北海道教育大学名誉教授の岡村聡氏が研究結果として、寿都町東部に分布する「磯谷溶岩」の年代測定によって①磯谷溶岩は処分場建設を避けるべき第四紀火山の可能性がある、②このため寿都町西部のごくわずかを残し、そのほとんどは処分場として不適格になる――と説明した。

 北海道での文献調査への反応は最終処分場選定がまだ入り口にも入っていないことを示している。

(『週刊金曜日』2024年12月20日号)

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