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清瀬市で図書館削減是非問う住民投票求め請願 市議会で否決、審議紛糾

飯岡志郎・「はなこタイムス」記者|2025年4月1日9:13PM

 東京・清瀬市が市立図書館6館中4館を閉館すると決めたことをめぐり、その是非を問う住民投票の実施を市民団体が請願。2月3日の臨時市議会で審議されたが、反対多数で否決された。

 清瀬市は人口約7万5000人の郊外都市。市は図書館の利用率の低迷などから6館体制を今後も維持することはできないとして再編の基本方針を打ち出し、パブリックコメントなどの手続きを経て昨年3月の定例市議会で図書館再編の条例が成立した。

市立図書館再編問題が審議された2月3日の東京・清瀬市臨時市議会。(撮影/飯岡志郎)

 しかし市民の中から「パブリックコメントに向けた基本方針の素案では閉館が明示されていなかった」「説明が不十分で、進め方が乱暴」などの声が上がり、市民団体による閉館の是非を問う住民投票を求める署名活動に発展した。その結果、請求に必要な数を大幅に超える7674筆が集まった。

 市側は「本を無料で宅配する新たな取り組みをするなどサービスは低下しない」と説明するが「本を借りるだけが図書館の役割ではない」と理解は広がっていない。

 臨時市議会では渋谷桂司市長が「説明不十分」を認めつつも「住民投票は必要ない」とする意見書を付して条例案を提出。市民団体代表は「図書館は市民の生活にも民主主義の拠点としても重要。子どもの居場所としても大きな役割を果たしている」「ここで一度立ち止まって考え直すべきだ」などと意見陳述した。

 深夜にわたった議会では市側が答弁に苦しむ場面が目立ち紛糾した。また、閉鎖への批判が特に強かった「元町こども図書館」を当面存続させると市が突然表明した。

 採決の結果、「市の人口・財政規模や時代の変化から再編はやむを得ない」「図書館の問題は住民投票になじまない」などとする反対が12対7で多数を占めた。傍聴席の市民らからは「納得できない」「図書館存続運動は続ける」との声が聞かれた。

(『週刊金曜日』2025年2月14日号)

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