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被爆80年、節目の夏に向けて「核兵器をなくす国際市民フォーラム」開催

竪場勝司・ライター|2025年4月1日10:10PM


「被爆80年 核兵器をなくす国際市民フォーラム」が2月8日、9日の2日間、東京・渋谷区の聖心女子大学で開かれた。核実験の現場となったマーシャル諸島の国会議員ら海外から核問題に詳しい多くのゲストを招き、核兵器の非人道性を改めて明らかにし、核兵器をなくすために市民にできることを考えるなど、多様なテーマで議論をした。

核抑止論などについて語るアレクサンダー・クメント氏(左から2人目)。(撮影/竪場勝司)

 主催は、核兵器廃絶の運動に取り組んできた日本の市民団体が協力して、2024年4月に立ちあげた「一般社団法人核兵器をなくす日本キャンペーン」(以下、日本キャンペーン)。同団体は30年までに日本が核兵器禁止条約に加盟することを目標に掲げている。

 24年には日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞し、今年は広島・長崎の被爆から80年を迎える。フォーラムは節目の年に、核兵器のない世界の実現へ向けた動きを加速させることを目的に企画された。3月にはニューヨークで核兵器禁止条約の第3回締約国会議も開催される予定で、そこにつなげる意味もある。

 初日の8日は全体会で、開会セッションでは日本被団協代表委員で日本キャンペーン代表理事でもある田中煕巳さんが「広島・長崎を攻撃して二つの都市を壊滅させ、数十万人の人たちを殺した兵器が今、1万2000発も地球上にある」と強調。「核兵器をなくすということが自分の問題であると、若い人たちが考えることができるようになるには、80年前に起こった原爆被害がどういうものであったか、つぶさに知ることが必要だ。世界中の国民が、核兵器をなくさないといけないということで被爆80年の運動をつくりあげていってほしい」などとスピーチした。

日本の核禁条約参加訴え

 この後、「『核兵器のない世界』を想像/創造する」など四つのテーマについて、国内外の専門家らが議論をした。

「グローバルヒバクシャと核被害者援助~太平洋における核被害から~」のセッションにはマーシャル諸島の国会議員、デイビッド・アニトック氏と、フランスの核実験の現場となった仏領ポリネシアの国会議員、ヒナメラ・クロス氏が登壇。現在も影響が残る核実験の被害の実態などについて語った。

「核兵器禁止条約を核保有国・同盟国にどう広げるか?」のセッションには条約実現に貢献したオーストリアの外交官、アレクサンダー・クメント氏が登壇し「核抑止は常に有効だという考えは非常に危険だ。失敗した場合のリスクや安全保障環境の悪化を考慮すれば、核兵器への依存から脱却することが緊急に必要とされている」と核抑止論を批判。第3回締約国会議に「唯一の戦争被爆国である日本も参加すべきだ」と訴えた。

 2日目は分科会が催され、いくつかの会場で「東アジアと日本の核政策」「核兵器とジェンダー」といったテーマでの討論があった。展示・ワークショップでは大学の教室を会場にして「被爆者と出会う部屋」「ユースの部屋」「世界の核被害を学ぶ部屋」などが設けられ、参加者が被爆者と語り合う姿などが見られた。

 閉会セッションでスピーチした日本キャンペーン長崎コーディネーターの林田光弘さんは「日本被団協が自分たちのメッセージをまとめた『基本要求』という文書の中で、核兵器のことを『人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許さない兵器である』としています。人間らしく生きることも許さない兵器であるということは、このフォーラムの中で、みなさんが再認識したのではないでしょうか。広島、長崎、核実験の被害者たちの、そしてその家族の苦しみは、あの日に限ったことではなく、今日までの日常の中にあります」と指摘。

「今年は被爆80年、そしてノーベル平和賞受賞後、初めての8月でもあります。これまで以上に、日本から発信するメッセージが世界に伝わるチャンスです。私たちは、(現状の)分断を乗り越えて会話を始めましょう。核兵器に負けない、平和な世界を勝ち取りましょう」と力強く訴えた。

(『週刊金曜日』2025年2月21日号)

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