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「令和の百姓一揆」トラクターが東京繁華街を行進 「食と農に未来を!」

薄井崇友・フォトジャーナリスト|2025年4月23日7:43PM

「米農家の時給はたった10円、欧米並みの所得補償を!」

 花見シーズン真っただ中の3月30日、日曜日午後の都心の大通りにトラクター約30台が集結。独特なディーゼルエンジン音が響く中、全国から参加した農家や消費者が「日本の食を守るため立ち上がる時が来た!」と声をあげた。

東京都心の繁華街にトラクターのディーゼル音とコールを響かせた「令和の百姓一揆」デモ。(撮影/薄井崇友)

 この日に全国14都道府県で一斉に行なわれた「3・30『令和の百姓一揆』トラクター&人々の行進」の東京都内での光景だ。「いのちの循環」を掲げて山形県で農業を営む菅野芳秀さん(75歳)を代表とする実行委員会が、事前に各地で集会も開くなどして呼びかけたうえで実施した。東京での参加者は沿道からも含めて約4500人(主催者発表)。デモは青山公園(港区)での集会後、人出が多い青山通りから表参道を経て渋谷区の代々木公園にかけて実施。参加者らは「命・食・農を守ろう!!」など、さまざまなメッセージが書かれた横断幕やカードを掲げて歩き、トラクターも渋谷など各所を回りながらアピールした。

 冒頭に挙げた「米農家の時給が10円」とは農林水産省の2022年農業経営統計調査「水田作経営」に基づく数字だ。翌23年の同調査ではこれが97円に。農業所得が主な米農家(主業経営体)に限っても時給892円で、同年の雇用労働者の最低賃金を「すべての県で下回る」(農業協同組合新聞「JA com」24年12月26日)という。

 埼玉から参加した米農家の女性(60代)は「米価が2倍に上がったが、米農家の感覚では適正価格。水田は食だけでなく貯水・緑化・災害対策・景観などの意味もある。乾田や畑だけになったら日本の農業は死んでしまう」と訴えた。

「欧米並みの所得補償」とは、中山間地が多い日本の農業・農村のサステナビリティを確保する農業者向け直接支払制度で、昨年の衆議院選挙で複数の党が言及した。これについて前出の女性は「賛否はあるが、食と農に未来がないと少子化が止まらない」とも話した。

(『週刊金曜日』2025年4月11日号)

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