〈今年も株主提案〉田中優子
田中優子・『週刊金曜日』編集委員|2025年4月23日8:54PM

昨年3月8日号のこのコラムで「テレビに声を上げよう」を書いた。「テレビ輝け!市民ネットワーク」の株主提案の知らせであった。この株主提案は今年も実施する。まだ文案は確定していないが、およそ5項目の定款追加を提案する予定だ。
まず「公正な報道に関する株主提案」だ。知る権利、権力に対する監視に応えた公正な報道に努め、政権への忖度、迎合を疑われるような事態を防止してほしい、という要望である。「広告と番組の混同に関する株主提案」も行なう。視聴者が広告と番組を混同すると思われる放送をしない、という定款の追加提案で、どちらも昨年とほぼ同じだ。放送番組審議会委員の任期に関する株主提案も、昨年同様に行なう。なぜ同じ提案をするのかといえば、昨年の提案はテレビ朝日ホールディングス(HD)側に退けられたからである。
今年新しく加えるのは、2030年度までに女性の「常勤」取締役と各管理職が30%に達するよう目標を掲げることと、女性社員に対する加害や不利益な取扱が発生しない企業風土を作り出す、という内容だ。これは定款ではなく「目標」とすることへの要望となるかもしれない。
さらに、昨年吹き荒れた選挙時の虚偽情報・真偽不明情報の流布も、乗り越えたい。そのために情報収集能力のあるマスメディアはファクトチェックを行ない、その結果を、有権者に積極的に示していただきたい。そのことの目標追加も提案する。これらの提案文を固めて4月18日に記者会見を行ない、テレビ朝日HDに手渡す。
昨年9月13日号の風速計では、株主提案に加わっていただく方法を書いた。6月後半に行なわれる定時株主総会の8週間前に提案する必要があり、提案者はその時点で、株を購入してから6カ月間保有している必要があるからだ。その時に株主になってくださった方は、「テレビ輝け!市民ネットワーク」のホームページにある「株主になって応援する方法について」を参照なさるか、もしくは事務局に連絡をいただきたい。
昨年は株主提案をインターネットメディアのArc Timesで紹介したところ、テレビ朝日の放送番組審議会委員長から、紹介した私と放送したArc Timesが提訴された。株主は企業価値を高めるために提案をするのである。そのことをぜひ理解していただきたい。
(『週刊金曜日』2025年3月21日号)