オバマでどうなる

米国は「変革」を選んだ。黒人、47歳、わずか上院議員1期のキャリア。オバマ氏にとって、これらの要素はすべてプラスに働いた。43歳のケネディ、46歳のクリントン。彼らが大統領に就いたときも、米国は閉塞状態にあえいでいた。だからこそ、未知の才能に将来を託したのだ。オバマ氏が語るように「『変革』は米国の天性の才能」なのかもしれない。と言って、熱狂がいつまで続くのかわからない。米国が超大国の座にとどまれる保障はない。日米関係の行く末も判然としない。すべては、オバマ氏の具体的な政策をみてからだ。ただ、これだけは言える。日本も「変革」を選択せざるをえないだろう。オバマの勝利はブッシュの敗北でもある。外には武力による侵略、内では「小さな政府」による格差拡大。そのことに米国民はノーを突きつけたのである。そして日本では、“ブッシュのポチ”と揶揄された小泉純一郎元首相がエセ改革を掲げて市民をだまし、惨憺たる社会を生み出した。ブッシュ敗北が小泉路線の敗北につながるのは必然だ。では、日本にとっての「変革」とは何か。とにもかくにも、「米国からの自立」が前提である。そのためには、米大統領選を親会社の社長レースのようにしか見ていない政治家や官僚に、これ以上、日本の明日を委ねるわけにはいかない。

■ブッシュ8年の悪夢を清算 ニューディール21世紀版で再建めざす 霍見 芳浩「変革の時が来た」「この国の真の力は武力ではなく、民主主義に由来する」。民主党のバラク・オバマ上院議員による勝利演説は、戦争と不況で国内外を混乱させ、暮らしを破壊した二期八年のブッシュ・ネオコン政治への訣別宣言であった。米国民の選択と、オバマ次期大統領のめざす政策の中身を見る。■見えるシナリオ、事態は何も変わらない 「オバマ」という幻影に怯える日本 原田 武夫歓喜に沸く「変革」。しかし、超大国を包んでいる未曽有の金融危機を前に、有効な手を打てるだろうか。オバマ次期大統領の誕生を「あらかじめ設定されたシナリオ」と断じる元外務省キャリアの筆者が、うろたえる日本の政・官・メディアを斬る。■ビル・トッテン氏に聞く 誰がなっても変わらない海賊国家の本質米国の真の支配者は政府を買収した者たちだ。大統領はその雇われ人にすぎない。選挙に目をくらまされることなく、彼らが権力を握っている限り、米国は戦争犯罪を繰り返す「ならず者国家」である事実を見つめるべきだ。

  • 追悼 筑紫哲也 編集委員 本誌編集委員の筑紫哲也さんが七日、亡くなった。哀悼の意を表するとともに、残された者として誓いたい。あなたのジャーナリスト魂を忘れず、強く、しなやかに、やさしく、闘い続けます――。声低く語りかけた捕手 佐高 信非常識組       本多 勝一宿 題        落合 恵子バイパスの役割    石坂 啓本誌を生み、育てた  黒川 宣之女性にもてた理由   北村 肇
  • 「侵略正当化論文」の田母神俊雄・前空幕長隊員向けトンデモ講話全公開 専守防衛見直しに国家機密法導入を提言から、「脳みそ左半分」の学長を罵倒、核兵器共感発言まで三宅 勝久旧日本軍の侵略を正当化する論文を発表して罷免され、定年退職した田母神俊雄・前空幕長が今年一月、「教育指導」した講話の記録文書の存在が明るみになった(11月7日号既報)。南京大虐殺の否定、情報公開制度や専守防衛の批判、「左翼」の罵倒、核兵器保有への言及など、内容は自衛隊が拠って立つべき法や手続きを無視。制服組の暴走といってもよい空幕長講話を公開する。
  • 境界線上を走れ 「拉致」への戸惑いと義憤―総連を愛し ゆえに造反した男洪敬義ホンキョンウィ一九五九年大阪市生まれNPO法人コリア人権生活協会理事文 藤井誠二写真 佐藤類
  • パラジクロロベンゼンやら、シアン化合物やら……国産食品だって危ない! 渡辺 雄二日清食品「カップヌードル」から防虫剤の主成分であるパラジクロロベンゼン、伊藤ハム東京工場の地下水からはシアン化合物と、毒物が検出されています。毒物の検出自体も、汚染原因がわからないことも問題です。何がどうなっているんでしょうね。
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  • 痛憤の現場を歩く88原発20基分の土地に浮上する最終処分場下北半島・東通原発の今後 鎌田 慧青森県内のある自治体原子力対策課の担当者が、冗談めいて話した。「下北半島にこなかったのはウラン鉱山だけだ」。2005年12月に東通原発が営業運転を開始した。東通村ではいま、残された広大な原発用地に「最終処分場」の影がちらついている。
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