参議院選挙の「結果」 そして日本の「これから」を読む

本当の意味での“強い政治”とは。“争点なき”参院選は、“敗者はあれど勝者なき” 結果に終わった。50議席を割り込んだ民主党は敗北だが、改選第一党になった自民党も勝ったとは言えない。比例では民主党の後塵を拝しており、敵失に乗じただけで、有権者の信頼を回復したわけではない。では、なぜ菅直人政権はオウンゴールの失態を演じたのか。主犯は「消費税」ではなく、“カッコ悪さ”“弱々しさ”ではないか。市民派総理として颯爽と登場した新首相が、会見は歯切れが悪く、発言がふらつきっぱなしとあっては、失望を招くのは当然だ。むろん、真に深刻なのは、カッコ悪さに有権者が反応してしまう今の社会である。閉塞状況が続くと、人々は“強い言葉”にひかれ、“強い人間”に身をゆだねる。それがファシズムの危機を内包するのは言うまでもない。菅政権が立ち直るためには、だれもが等しく安心して生きられる社会の実現を具体的に、しかも理念をもって語り、実践するしかない。それこそがファシズムの危険性を遠ざける、本当の意味での“強い政治”である。

■「政権交代の不可能性」を突きつけられて われわれは何を選択したのか 白井 聡■「負担」から「分担」へ意識転換を 暮らしを支える政治の在り方示せ 今井貴子民主党が大敗を喫した原因はどこにあるのか。消費税率の引き上げを菅首相が口にしながらも、その先にある社会の設計図を示さなかったからだ。財政・経済と連携した生活保障システムの再構築は、待ったなしの課題だ。■精神分析から見た投票行動 有権者自身が他者との連帯構築を 樫村愛子この間の国政選挙では、有権者の不安定な支持政党のブレが見られる。「小泉劇場」のような根拠の無さは影を潜めたが、求められているのは有権者自身が他人任せをやめ、自身で新たな社会を構築する意欲なのだ。■ネット選挙の不在は選挙結果にどう影響したか 理念に基づく真正性こそ求められる 玄武岩期待されていたインターネット選挙の解禁は、先送りとなった。ネット選挙は、その能動性や双方向性から政治にダイナミズムをもたらすとされるが、それが不在であったことは、参院選においていかなる意味を持つのだろうか。■「新しい世界」を開く共闘へ 中央の政党論理から自立する沖縄 岡本由希子島尻安伊子氏(自民)の当選で幕を閉じた沖縄選挙区。東京を中心とした系列政党の「限界」が露呈し、「日本の中の沖縄」という思考の枠組みから、アジアの、世界の中の沖縄へと向かう、新しい沖縄の闘いが始まりつつある。

  • 検察のでっちあげが明らかに 厚労省元局長・村木氏に「厳正なる無罪判決」を粟野 仁雄自称障害者団体の依頼で格安郵便が扱える証明書を発行したとされ、厚労省の元局長・村木厚子氏(五四歳・休職中)が虚偽有印公文書作成・同行使罪で大阪地検特捜部に逮捕・起訴された事件が結審、九月の判決を待つのみとなった。
  • これは「貧困ビジネス」だ! ひとり親家庭を貧困に追いやる在宅就業支援 蓮村 美香子六月八日、東京都立川市で母子家庭の母向けのセミナーが立川グランドホテルで開催された。ゴージャスな部屋で開かれたセミナーの内容は「ひとり親家庭のための在宅就業支援セミナー」。なぜ今、内職支援なのだろう?新政権は子どもの貧困を解決すべく不十分ながら努力してきた、という評価は正しいのだろうか。
  • ボリビアの闘うコミュニティ 神様に一番近い街 「エル・アルト」 前田 実津
  • 破壊と希望のイラク 第18回 ヨルダンのイラク難民への医療支援に奔走 広がりつながるコミュニティ 高遠菜穂子
  • 「300人ショック」が露呈した 都立高校改革の杜撰 瀬下 美和今年、一部の都立高校定時制で入学式が二度行なわれた。募集人員の枠が足らず、進学先のない中学卒業者が300人以上も出て、追加募集をしたからだ。定時制が統廃合される過程で、実はこの事態は予期されていた――。◆大人のエゴが子どもを追い詰めている 渡ナベ美樹
  • 定時制高校 切り捨て、安上がり、自己責任…… 高校無償化だけでは救われない子どもたち 平舘 英明高校授業料無償化が今春から導入された。すべての子どもに修学を保障する大きな一歩にはなったが、まだまだ課題も多い。「学びのセーフティーネット」と言われる定時制高校の現場から、子どもを取り巻く厳しい現実を追った。
  • 特定社会保険労務士・イナゲが教える 労働条件でもめないための防衛策 稲毛由佳ご自分の給料額その他、把握してますか? 会社側ともめぬよう、面接や入社時のポイントを教えてもらいます。

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