被災と記憶

●被災者と風化に向き合う新聞社『河北新報』「震災遺構」と「語り部」 平井康嗣本誌は昨年末の特集で「忘却に抗う」とした。震災に限らず戦争や被災の記憶は風化していくばかりだ。もちろん、つらければ忘れてもいいだろう。しかし、後世のためにまた歪曲されないためにも、できるだけ証言や記録は遺していくべきではないのだろうか。その葛藤を追う。●記憶のつづれ織りから 身の回りのことを書き留める 森まゆみ二六年の間、地域で聞き書きをして来た経験から、記憶の危うさを実感している筆者。記憶が変容を遂げる前に、「とにかく聞いておかなければ」と、3・11の聞き書きをつづける。●「過去」が戻ってきた場所 岩手県・大船渡-再生 への願い 弓削田理絵三陸沖の景勝地で名高い岩手県大船渡市の碁石海岸。風光明媚な地を大津波は容赦なく襲った。進まない復興の中で、流された過去から、新しい未来をつくり出そうとする人びとがいる。●3・11を小説化できるか 個人の局地戦の果てに 陣野俊史戦後文学の名作の多くは、戦争がなければ書かれていないだろう。「3・11」以後、「3・11」を題材にした小説は書かれているのか。力作はあるが、「大きい小説」とは呼びにくい。それは――。

  • 対談 田中優子×石牟礼道子 毒死した万物の声に身悶える 近代一〇〇年は子どもたちに何を教えてきたのか――それを考えつづけながら、魂の行き先をさがす作家の石牟礼道子。その石牟礼の魂に一八歳で出会い、四二年目にして初めて本人と対面をした江戸文化研究者の田中優子。「経済成長」の中で私たちが切り捨ててきてしまったものとは何か。元・現編集委員の二人が語る。
  • 対談 曽我逸郎×佐高信 脱原発もtppも どう生きるかという思想 今年六月の村議会での「日の丸」になぜ礼をしないのかという質問に対し憲法を引用しながら答弁した内容が話題を呼んだ曽我逸郎・中川村村長。電通社員時代、原発のPRはしたくないと電力会社担当をはずしてもらった「異端児」と、電通を批判し続けてきた佐高信・本誌編集委員が語り合った。曽我氏の生き方を貫く思想とは――。
  • 対談 花園一実×中島岳志 親鸞・過去からの問い 「縁起」「悪」「他力」が投げかけるもの 没後七五〇年を経てもなお、現代を生きる私たちを魅了してやまない親鸞。親鸞の言葉が今の日本社会に投げかけるものは何か。真宗大谷派の僧侶である花園一実さんと中島岳志本誌編集委員が語りあった。
  • 橋下徹市長とジャーナリズムの知的劣化 小林健治さんに聞く(出版・人権差別問題懇談会顧問)  聞き手・まとめ 伊田浩之(編集部)橋下徹大阪市長を取り上げた『週刊朝日』の連載(第1回で打ち切り)は何が問題なのか。大手出版社などでつくる出版・人権差別問題懇談会の顧問を長年務めている小林健治さんに聞いた。 ◆橋下市長! 都市は金儲けだけの場ですか?  文化事業での補助金カットの裏には歴史認識修正の意図も 粟野 仁雄「文楽を見たが二度と行かない。チョー面白くない」「一等地に図書館は必要ない」。挑発的言辞を繰り返し、文楽やオーケストラ、図書館、博物館などを潰しにかかる橋下徹大阪市長。彼は「金」にならないものはすべて必要ないのか。
  • 腹の情景 第11回 「ヒューマングレード」な食事  写真・文 木村 聡
  • 格闘する思想 奥田博子  本橋哲也丁寧で緻密な実証を重ねることでしか人々の記憶に向きあうことはできない。戦後の日本が積み残してきた最大の課題である広島と長崎の原爆体験、そして沖縄という戦場の記憶に挑み、非当事者の意識の盲点を明らかにする。そして問題意識は、3・11へとつづく。 戦後日本のナショナルな「神話」を記憶によって解体する
  • 自民党だけじゃない、みんなの党、たちあがれ日本、日本維新の会…… 全方位的に進む憲法改定  藤原 真由美 ◆
  • 「立憲主義」を聞いたことがなかった参議院議員 礒崎陽輔氏 (自民)  5月末に「私は憲法を習ったが立憲主義という言葉を聞いたことがない」という趣旨のツイートを繰り返した礒崎陽輔参議院議員は、憲法審査会委員であり自民党憲法改正推進本部起草委員会の事務局長だった。一連のツイートを紹介しよう。

購入

  • amazon
  • Fujisan
  • 楽天ブックス
  • セブンネットショッピング
  • 定期購読

ページトップに戻る