闘う映画
わたしたちはいま、どのような時代を生きているのか。日本は、世界はいったいどうなっているのか。東日本大震災、東京電力原発事故、過激化するヘイトスピーチ、戦争法成立と南スーダンへの自衛隊派遣......など、あまりにも急激な変化に私たちは対応できているのか。世界に目を転じると、英国のEU(欧州連合)離脱やIS(「イスラム国」)によるテロや難民の大量発生など、やはり激動の時代に入ったことは確実だ。しかも、新聞やテレビに代表される日本の大メディアは、安倍晋三政権の意向を過度に気配りし、自主規制しているのではないか。いや、自主規制ならまだましかもしれない。権力の広報が自らの役割だと考えている記者はいないか。トランプ氏が米大統領に当選した背景にも、特権的なマスコミへの不信感があった。事実を知りたい。過去になにがあったのか。そして、それは現在とどのようにつながり、どのような未来をもたらすのか。いや、希望する未来のためにはなにが必要なのか。その答えのひとつがドキュメンタリー映画にある。といっても、映画鑑賞は「お勉強」ではない。時には笑い、怒り、驚き、涙する豊潤な世界がそこには広がっている。まずは、今年大ヒットした『FAKE』の森達也監督と、数々の作品をプロデュースしてきた安岡卓治さんの対談から、深く広い森に入っていこう。
- ドキュメンタリー映画が熱いワケ
対談 森達也(映画監督)×
安岡卓治(映画プロデューサー) - 全国の劇場が選ぶ3本
ドキュメンタリー映画を支えているのは志ある全国の劇場だ。
映画を劇場で観る魅力は、やはりなにものにも代えがたい。
目の肥えた劇場主たちにお勧めの作品を推していただく。 - 不寛容の世界に抗するドキュメンタリー
移民排斥やヘイトスピーチ――不寛容が蔓延する世界へのカウンター的作品を紹介する。
- 近日公開作品
今春までに公開される作品の中から2本を取り上げる。2017年も国内外のドキュメント映画は熱く、刺激的だ。
- 『抗い ARAGAI 記録作家 林えいだい』
「朝鮮人強制連行」に一貫してこだわる - 『標的の島 風(かじ)かたか』
風よけにされる先島諸島への危機感 - 上映待望作品
制作された映画がすべて劇場で上映されるわけではない。公開が待たれる無数の作品のなかから2本を紹介しよう。
- 『彼らの原発(仮題)』
原発と私たちをつなぐ送電線と想像力 - 『「知事抹殺」の真実』
特捜部が“創作”した栄佐久さん事件の真相 - ジリ貧を脱出するために何ができるか
映画を制作する民放地方局が増えている。その先頭走者が名古屋市に本社を置く東海テレビ放送。ひたすら現場に通いカメラを回す実直な姿勢が、良質なドキュメンタリーを生み出している。
- 問われる沖縄への「海兵隊押しつけ」
オスプレイ墜落の衝撃 - 米軍機移駐を拒否した住民投票から10年
それでも岩国は闘い続ける - 今どき「領土問題」にこだわる愚かさ
- 頓挫した「中国包囲網」と止血に走ったNHK
安倍・プーチン会談の「成果ゼロ」が示唆する日本外交の迷走 - 極私的 怒り・公権力への射程距離2016
- 根掘り葉掘りホンネ掘り
対談 原 一男 × 北村 肇 - 己をシニカルに笑い飛ばし、しつこく、権力には「怒り」を
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