「戸籍」から「個籍」へ
新たな「別姓訴訟」と
家族法
日本国憲法制定後、民法(家族法)は家制度をなくす形で改正されたが、個人の尊厳と両性の平等の理念に照らして改正が十分であったとは言えない。個人単位の「個籍」にするべきだった身分登録を「夫婦と氏を同じくする子」という家族単位の「戸籍」としたことの弊害が明らかになってきた。離婚後の子の氏変更の複雑さや無戸籍者問題、夫婦同姓強制もその例として改正が望まれている。選択的夫婦別姓を求める「別姓訴訟」は2015年の最高裁判決が「国会で論ぜられるべきこと」としたが、その議論は国会ではほとんどされていない。ゆえに再び司法への「別姓訴訟」が提起されることとなった。この新たな訴訟を機に、現代の多様な家族形態にふさわしい民法を改めて考えたい。
- 二宮周平・立命館大学教授に聞く
「多様な家族を前提にした民法論議を」 - 打越さく良・弁護士に聞く
新たな「別姓訴訟」では「カップル間不平等」を問う民法750条は夫婦同姓を強制するもので違憲であるという主張の「別姓訴訟」が再び始まる。今回は「同姓を選択したカップルは法律婚ができ、別姓を選択したカップルは法律婚ができない」という観点から、この不平等を問う。弁護団副団長となる打越さく良弁護士に話を聞いた。
- 訴訟原告の青野慶久・サイボウズ社長に聞く
「選択的夫婦別姓にしないのは経済的に大きな損失」夫婦別姓を認めない現行法制度は違憲だとして、ソフトウエア開発会社「サイボウズ」社長の青野慶久氏ら男女4人が1月9日、国に損害賠償を求め提訴。離婚時に認められている婚氏続称と同様、婚姻時にも戸籍上の氏(呼称上の氏)での別姓を求めている。青野氏に提訴の思いを聞いた。
- 妻の姓を選択した吉田尚史氏に聞く
「姓を選択制にしても不利益を蒙る人は誰もいない」妻の姓を選択し法律婚をしていたが、現在はペーパー離婚をして事実婚となった吉田尚史さん。現在も家族5人で暮らし外見上は変化がないが、子どもの親権もなくなるなど悩みはつきず、選択的夫婦別姓による法律婚を希望している。結婚改姓する男性は4%未満。少数派であるがゆえの不都合や葛藤など、思いを聞いた。
- 憲法から具体的権利を引き出す司法へ
対談 泉徳治×坂本洋子2015年12月の「別姓訴訟」最高裁判決は夫婦同姓強制規定を合憲とした。少数者の権利を救う判決・意見を書いてきた元最高裁判事と、民法改正実現のため立法府と司法府の双方に働きかけてきた活動家が、判決内容と司法の役割について語り合った。
- ルポ 沖縄・名護 辺野古新基地建設の現場から
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- 共同体が壊れてゆく近代化を問い続けた
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