さよならアベ政治
「安倍首相は、自分の発言が改ざんの発端になっていることから逃げているのではないでしょうか」。森友学園問題で公文書の改竄を強制され、自殺に追い込まれた赤木俊夫さんの妻・雅子さんは7月15日、大阪地裁での裁判の意見陳述でこう述べ、安倍晋三首相に真相解明への協力を求めた。『朝日新聞』の報道によれば、安倍首相はその夜、記者団から「再調査」について問われ、答えなかった。その誠意のなさに怒りを禁じ得ない。財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さんは遺書に「なんて世の中だ、」と書いた。その無念を思うと、心が痛い。「なんて世の中だ、」。この言葉こそ、まさに安倍政権が作り出したこの時代を的確に表現している。今週号の第1特集「さよなら!アベ政治」は、日本の民主主義の基盤を破壊した安倍政権の数々の「権力犯罪」の記録だ。われわれはこれらを決して許さない。内閣支持率も低迷し、安倍政権の終焉も近づいてきた。「アベ政治」は安倍氏一人が生み出したものではない。それを支えた無数の人々がいる。なぜ「アベ政治」が生まれたのか。それを問い続けなければならない。「なんて世の中だ、」を終わらせるために。(編集主幹 植村隆)
- 青木理氏に聞く
廉恥の情があれば、政権は終わっているはず
安倍政権、終焉近づくお友達、忖度、証拠隠滅、虚偽、改竄……。安倍政権を象徴する言葉を並べてみた。これだけでも、いかに国民を欺いてきた政権かが分かろうというものだ。2012年12月の第2次安倍政権発足から約7年7カ月。発足当初は72・8%(13年2月)あった内閣支持率は38・8%(今年7月)にまで落ち込んだ(共同通信調べ)。終焉は近づいている。『安倍三代』(朝日新聞出版)の著者、ジャーナリストの青木理氏に聞いた。聞き手は日本新聞労働組合連合(新聞労連)元委員長の新崎盛吾氏。
- 凱風快晴ときどき曇り【特別編】
枯渇する民主主義の心 - 追及!政権腐敗【任命責任】
安倍内閣の無責任・無法ぶり
約9年で大臣ら16人辞任、3人逮捕数々の疑惑と相次ぐ大臣辞任。そのたびに「真摯な説明をしていきたい」「任命責任はる」などと発言してきた安倍晋三首相だが、「真摯な説明」があったためしはなく、「責任」も一切取らない。歴代最長政権は、歴代最悪の無法・無責任政権ではないか。
- 追及!政権腐敗【閣議決定】
悪用、濫用、恥ずかしい内容
安倍政権「閣議決定政治」の虚妄安倍政権の腐敗を象徴するのが、「閣議決定」の内容のひどさだ。「まやかしの」と形容するのがふさわしい。虚妄の閣議決定政治の一端を紹介しよう。
- 「任期中」に意欲も実現は困難
「安倍改憲」が潰える日「戦争のできる国」をめざす安倍晋三首相が、政治生命を賭して取り組んできた日本国憲法第9条をはじめとする憲法改正=「安倍改憲」。あくまでも「任期中」の改憲を掲げるが、その可能性は低く、安倍政治の終焉を象徴している。
- 議員の国会召集要求を無視した安倍政権
憲法53条裁判那覇地裁判決の意義と課題委員会に野党が要求する関係閣僚が出席せず、辞任した閣僚は国会を欠席し続け追及を避けるなど安倍晋三政権の国会軽視姿勢は際立つ。特に憲法53条に基づく臨時国会召集要求を政権が無視し続けたことは、議員が違憲違法を訴え提訴し係争中だ。この裁判と憲法53条について憲法学者が解説する。
- 安倍の怨念、菅の権力欲
河井事件がさらした政権の本性前法相の河井克行と妻で参院議員の案里が公職選挙法違反(買収)の罪で東京地検に起訴された。直前まで法務行政を管轄した現職国会議員が逮捕される異例の事件は、安倍政権を直撃した。因果をたどれば、政権トップによる怨恨と野望が見え隠れする。
- 『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』の共著者、
相澤冬樹氏に聞く
自殺した財務省職員の妻
赤木雅子さんに共感集まる森友学園への国有地巨額値引きをめぐり、公文書を改ざんさせられ命を絶った財務省近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(享年54)の妻、赤木雅子さん( 49 歳)が、改ざんを指示したとされる佐川宣寿元財務省理財局長と国を相手に起こした裁判が始まっている。裁判に合わせて雅子さんとの共著を出した相澤冬樹さんに聞いた。
- きんようクロスワードパズル
- 追及!政権腐敗【桜疑惑】
「法律家の会」追加告発
1000人近くが安倍首相の法違反問う
検察は告発を受理し厳正な捜査を「桜を見る会」の疑惑を放置できないと、8月6日、全国の弁護士らが安倍晋三首相らに対する追加の刑事告発をする。5月の第1次告発と合わせると、告発人は1000人規模となる。これだけの数の法律専門家が首相の犯罪を訴えるのは、異常な事態だ。
- 高等教育「無償化」という詐術
反対運動の取り込みと分断支配が長期政権のカギ第2次安倍政権は現在、9年目に突入している。この長期政権を可能にしたものは何か。奨学金問題や貧困問題に長年かかわってきた著者が、教育という観点から考察する。
- 「屈辱の日」を「主権回復の日」と祝う無神経
沖縄「県民の心に寄り添う」意思などない安倍政権政府は在日米軍施設の沖縄集中を認めており、安倍晋三首相も沖縄の負担軽減に努めるとは言う。しかし沖縄県民が選挙の度に表明する基地移設反対の意思を尊重しようとはせず、住民の命と尊厳を脅かす米兵の暴力問題を解決しようとする姿勢も見えない。
- 「慰安婦」問題と“記憶の暗殺者”たち
安倍首相らによるメディアと教育への政治介入「慰安婦」問題では、歴史を勝手に書き替えようとする“記憶の暗殺者”たちとの闘いが続く。安倍晋三首相は“記憶の暗殺者”たちの中でも際立つ。この政権が終わらない限り、問題解決は望めない。
- 東電福島第一原発事故の被災者切り捨て
電通「復興キャンペーン」に
7年間で240億円を投入「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」── 安倍晋三首相は2013年9月、アルゼンチンで行なった五輪招致演説でこう強調した。だが、事態は正反対だ。
- 安保関連法をめぐる安倍政権の「クーデター」と、市民の挑戦
「戦争ができる国」をめざす圧倒的な想像力の欠如安保関連法案が国会で強行採決された2015年9月、アフガニスタンにいた筆者が目にしたのは「集団的自衛権」下で大国に侵略され、荒廃した国の姿だった。今まさに「侵略する国」の側に立たされようとしている私たちは何をすべきか。「安保法制違憲訴訟」の原告、同訴訟「女の会」の証人も務める筆者が強く問いかける。
敗戦75年
太平洋戦争での敗戦から75年。この間、戦争は被害者意識、加害責任、そして自虐史観などと位置づけられ、その時々の権力者に利用されてきた。しかしそうではなく、戦争を直視し、死者の声に耳を澄ますことはできないか。そうでなければ、戦争の評価をめぐって不毛な論争がまた繰り返される。第2特集は戦争の事実を見つめ続けた画家、丸木夫妻が残した原爆の図丸木美術館の岡村幸宣学芸員から。
- 死者たちの痛みを想像することはその生にもう一度命を吹き込むこと
- 『猫を棄てる 父親について語るとき』を読む
父の侵略戦争体験と向き合う村上春樹
父の戦争体験とどう向き合うか――。村上春樹の『猫を棄てる 父親について語るとき』(文藝春秋)は、2008年に世を去った彼の父とその人生を理解するまでの道のりを、率直に書き綴った一冊である。 - 今年の夏はこのTVドキュメンタリーがすごい!
夏のTVドキュメンタリーの定番テーマは「戦争」だが、その他にも見るべき作品は多い。何かと批判のあるTVの中で気を吐くドキュメンタリー番組を見て、作り手を応援だ!! - 植村裁判判決と日本社会 私たちは今どこに立っているのか
正面から裁判所を説得しなければ
人権意識から性暴力問題を考える
1990年代に顕在化した旧日本軍「慰安婦」被害者の問題は、侵略戦争と植民地支配を背景にした「戦時の性暴力」に対し、日本社会がどう向き合うべきかを突きつけていた。一方、昨年から始まった女性たちのフラワーデモによる異議申し立ては、性暴力がなおさまざまな形をとり、この社会に根深い病巣を広げていることを示した。「慰安婦」被害者のために日本政府を相手に裁判闘争を続けてきた弁護士の大森典子さんと、フラワーデモ提唱者の一人である作家の北原みのりさんが見つめ、考えていることとは――。