2022参院選
外国人参政権を問う
自らが属する共同体の政策決定に参画する権利は、万人に保障されるべき当然の権利ではないのか。歴史的背景をもつ在日コリアンをはじめとした日本の定住外国人には、いまだに参政権がない。これは一部の外国籍の人々の問題ではなく、既に多民族化している日本社会の構成員たる私たちが、隣人同士でどんな社会をつくっていきたいかを示すリトマス試験紙でもある。だから権利の「付与」などという言い方はできる限り避けたい。行政が「多文化共生」などの建前を掲げて久しいが、労働力としての外国人には門戸を開きながら「市民」としては認めない姿勢はヘイトクライムや入管での人権侵害の横行にもつながっているのではないか。
今回の参院選で主要政党がこの問題を争点化しているわけではない。「外国人参政権付与法案」に「断固、反対」してきた自民党。日本維新の会は参政権を「認めない」代わりに「帰化手続きの合理化・簡素化を推進」するという。民族呼称での在日コリアン候補を公認したれいわ新選組のほか公明、共産、社民は「地方参政権の実現をめざす」というが、今回の選挙の主要公約や重要施策として前面に掲げているわけではない。立憲民主党の公約には「地方参政権」の文言すらない。だからこそ、いま立ち止まって考えたい。
- 民族呼称で参院選に立候補する金泰泳さんに聞く
「新しい在日像をつくりたい」1990年代後半から盛り上がった定住外国人の参政権獲得運動を受け、2010年には当時の鳩山由紀夫・民主党政権が地方参政権「付与」法案を検討するまでに至った。しかし、危機感を抱いた自民党が主導して各地の地方議会で反対意見書の可決が相次いだこともあり、10年近く政治的な「棚上げ」状態が続いている。そんな中、7月の参議院議員選挙に、呼称も含めての民族名での立候補を予定している在日韓国人の金泰泳さん(59歳)に、本誌の崔善愛・編集委員がインタビューした。
- 外国人参政権運動の「現在地」
参政権は「国民固有の権利」なのか?かつては「マイノリティの人権保障」や「地域社会の多様化」の観点からも実現直前までいった「定住外国人の参政権」問題。だが、その後議論は一気に低調に。在日外国人の地方参政権獲得の取り組みを、理論と市民運動の両面で支えてきた筆者に、「参政権実現に向けた現在地」についての論考をお願いした。
- 在日コリアンの権利回復運動はなぜ挫折したのか
あまり知られていないが、戦前の日本では在日朝鮮人などの植民地出身者は参政権を持っており、朝鮮出身の地方議員も多数いた。どのような経緯で彼らに参政権が「付与」されることになったのか? 権利の実態とその後の変遷は? この問題に詳しい朴一・大阪市立大学名誉教授に寄稿していただいた。歴史認識に基づいた朴氏の提言は、日本社会での参政権獲得を巡る、当事者の多様な意見の一つでもある。
- 憲法学の視点から南山大学教授・菅原真さんに聞く
問われているのは、私たちの社会ですそもそも「参政権」とは何か? その源は、どこに求められるのか? 万人に保障されたものなのか? 外国人に地方参政権も二重国籍も認めない「特異な国」とされる日本は、グローバルスタンダード(世界水準)から見て、その「現在地」はどこにあるのか? 移民政策にも詳しい憲法学者の菅原真・南山大学教授に聞いた。
- 凱風快晴ときどき曇り(特別編)
選挙で「正しい」選択とは - 関西大学の解雇事件
法人が解決金5300万円支払い
元教諭と和解成立
"口外禁止"の和解情報を開示 大阪高裁、「営業秘密」と認めず - 今を新たな戦前にしないために
竹内浩三を語り継ぐ - 性的指向と性自認のリアル さまざまなわたし(3)
「マジョリティー」は幻想
ひとりひとりが違う - きんようアンテナ
大阪カジノ住民投票求めて署名21万筆提出 - 長崎市性暴力裁判 市は控訴せず原告勝訴確定
- DHCテレビ「ニュース女子」高裁でも敗訴
- 東電原発事故刑事裁判控訴審が結審
- 神奈川県警巡査パワハラ自殺裁判結審、7月判決
- メディアウオッチ
政治家の相次ぐ女性差別的言動をきちんと報じない大手紙 - たとえば世界でいま
英国/首相「4割」不信任の波紋
米国/台湾でも「代理戦争」示唆したバイデン発言 - 青木理の温泉という悦楽(5) 有馬の極楽湯
放浪の日々を懐かしみ 金泉と銀泉の双方を楽しむ - 【提携連載企画】 公害『PFOA』19
摂津市議会、全会一致で国への意見書を可決 - 自由と創造のためのレッスン(118)
インターネットは物質からできている