公安情報と政治

第2次安倍晋三政権・菅義偉政権下では、公安警察出身の元警察官僚が内閣官房副長官や国家安全保障局長を務めるなど、首相官邸の中枢を占めた。歴代政権の中でも異例のことだ。その結果何が起きたのか。警察の収集する情報が、政権を批判する人を攻撃し、排除する材料に使われたとの疑惑が消えない。本来政治的に中立を保ち、政治と距離を置かなくてはならない警察の逸脱だ。警察同様、政府の情報活動の一角を担う自衛隊の情報部隊が市民の監視活動をしている。公安警察を筆頭とするインテリジェンスコミュニティの実態について報告する。

  • ジャーナリスト・青木理氏が語る
    役割を変えながら生き残る公安警察

    左翼監視から政治情報収集へ
    金本裕司

    青木理さんは、共同通信時代の1994年から2年以上、社会部記者として警視庁公安部を担当し、以来「公安警察」をウオッチし続けている。戦後、左翼運動の監視からスタートしたその組織は、東西冷戦終結後、国際テロ対策や国内の政治情報収集へと任務を変え、生き残りを図ってきた。そしてその情報は、政敵の追い落としなどの形で政治をゆがめているのではないかと危惧する。肥大化する組織の成り立ちからいまの問題点まで、青木さんが語った。

  • 共同通信記者・石井暁氏に聞く
    自衛隊はなぜ市民監視をし、情報を集めるのか?

    公安と軍事、情報の一体化
    本田雅和

    反戦・護憲集会やデモを取材していると、警視庁や各道府県警の公安部門と公安調査庁の私服職員だけではなく、自衛隊の情報部隊の隊員も市民監視活動をしているというが、一般市民の警戒心は希薄だ。最近は半ば公然と市民を尾行したり、撮影したりする私服・制服の警察官や公調職員もおり、日本社会の「警察国家」化が進んでいる。公安・治安情報と軍事情報の一体化に警鐘を鳴らしてきた専門記者の石井暁・共同通信専任編集委員に聞いた。

  • 前川喜平・元文部科学事務次官に聞く
    官房副長官政治と官僚機構をつなぐ存在

    官房副長官に警察官僚がなるのは良くない
    佐藤和雄

    政治と公安警察の深い結びつきについて、身をもって感じた人物がいる。文部科学事務次官だった前川喜平氏である。審議会委員の「任命拒否」、自身の私的な活動に関する警告、さらに加計学園問題を告発しようとする前川氏に対し、その人格を貶めるような『読売新聞』報道――。一体、あの時何が起きていたのか。前川氏に詳しく聞いた。(肩書は基本的に当時)。

  • 憲法学者・清水雅彦氏に聞く
    軍隊の警察化&警察の軍隊化

    「安全・安心」で進む監視国家
    本田雅和

    警察と軍隊は、国家の二大「暴力装置」と言われてきた。近代国家では両者のみが、合法的に武器の独占的保有と使用を認められている実力組織であるからだ。近年は情報のデジタル化と監視技術の高度化で、各国で「軍隊の警察化」「警察の軍隊化」という現象が急速に進んでいるという。日本では、警察と自衛隊が市民監視による情報収集で連携し、そのエッセンスは官邸に報告され、政権に利用されている。経緯や背景も含め、憲法と監視社会論が専門である清水雅彦・日本体育大学教授にその危険性について聞いた。

  • 沖縄・抵抗の現場から
    冷笑主義が蔓延する社会を問い返す

    「尊厳が奪われない限り、私たちは負けない」 安田浩一
  • ソウル雑踏事故
    ソウルなどでろうそく集会

    尹大統領の「退陣が追悼だ」 文聖姫
  • きんようアンテナ
    神戸市「神出病院」患者虐待で7団体が兵庫県に要請 吉田明彦
    11月3日「武力で平和はつくれない」憲法大行動 薄井崇友
    チキラボ「宗教2世」当事者実態調査結果を発表 岩本太郎
    「統一教会スラップに萎縮するな」弁護士ら声明 本田雅和
    ホームヘルパー国賠訴訟で原告が敗訴、控訴審へ 西村仁美
  • 日本の民俗信仰 祀りをたずねて(29)
    地蔵信仰 写真・文/山田しん
  • らんきりゅう(11)
    支援の現場からの切実な要請に
    各省庁からは、ほぼゼロ回答
    雨宮処凛
  • たとえば世界でいま
    韓国/圧死事故でみえた政府の体質 北方農夫人
    ブラジル/僅差で左派ルラ氏が大統領に当選 石井陽一
  • 日の丸ヤミ金奨学金(14)
    日本学生支援機構の黒塗り「指令書」
    公開訴訟が唐突に結審
    三宅勝久
  • メディアウオッチ
    「政治色」濃いNHK会長人事で前川喜平氏推す声上がる

    政権におもねらない放送求めて 臺 宏士

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