3.11から12年
何も終わっていない

フクシマ原発事故から12年。一時は国内の原子力発電所は稼働ゼロにまでいきながら、その後は「原発回帰」が進んだ。岸田文雄政権は「温室効果ガス削減」や「エネルギーの安定的供給」などを口実に再稼働だけでなく、老朽原発の60年以上の活用や新規建設までも認めてしまっている。「復興」の美名のもとに被災者・被害者同士の分断や対立は解消するどころか、さらに都市と地方で深化、複雑化している。そうした現状を「福島で暮らす住民の立場」から武藤類子さんに語ってもらい、再生可能エネルギーの未来と課題、原子力産業の問題点などについて、専門家やジャーナリストに分析、報告してもらった。

  • 武藤類子さんインタビュー
    国、東電、そして自分に原発事故の責任を問い続ける武藤類子さん

    「分断と対立」を乗り越え、深い闇の中、
    一条の光を見出す

    聞き手・まとめ/本田雅和

    東京電力福島第一原発事故では、福島県民だけでなく東日本で暮らす多くの住民が「避難する・しない」から「何を食べるか」まで日々決断を迫られ、「分断と対立」が生まれた。事故直後には自身も「福島の里山」から一時は県外まで脱出・避難した武藤類子さん(69歳)もまた、「分断」に苦しみながら被災地から「対立」を超える言葉を紡いできた一人だ。

  • 原発は日本のお宝か、それとも貧乏神か
    「原発再推進」が無理筋であるこれだけの理由
    明石昇二郎

    政府は2月28日、60年を超える原発の運転を可能にするため、五つの法改正案を束ね法案としてまとめた「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」を閣議決定し、国会に提出した。だが、原発産業自体、すでに斜陽化している。

  • ソーラーシェアリングの可能性と課題
    地域に根ざした参加型の再エネこそが
    エネルギー転換の突破口

    飯田哲也

    コロナ復興やロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー価格の高騰が私たちの生活を直撃し、さらに大きな気候危機にも直面している。こうした危機に煽られた国民の不安に乗じて、岸田文雄首相は「GX(グリーントランスフォーメーション)戦略」と称して原発推進姿勢を剥き出しにした。しかし、世界的に見ると人類は再生可能エネルギー(再エネ)による文明史的なエネルギー大転換を引き起こしつつあり、気候危機に対処しうる可能性を切り拓きつつある。日本でも、営農型太陽光発電(営農ソーラー)を軸とする、地域に根ざした参加型の再エネこそがエネルギー転換の突破口となる。

  • 特報 電源開発、大間原発の地震動計算で断層の深さを誤入力
    3000メートルを誤って3メートルで計算
    原子力規制庁「極めて重大な事案」
    伊田浩之
  • 孤立死産した元技能実習生の「死体遺棄」裁判
    最高裁で弁論開催、逆転無罪なるか 神原里佳
  • 2023統一地方選 大阪府知事・市長ダブル選
    「非維新」勢力が「おばちゃん目線」の谷口真由美さんを擁立 平野次郎
  • 再びの入管法改悪法案にNO!
    学生ら中心に市民団体が抗議活動

    訴えを聞いた私たちが伝えないと、闇に葬られてしまう 竪場勝司
  • 日韓学生フォーラム 3年ぶりにリアル開催
    戦争の傷痕や米軍基地が残る沖縄を4年ぶりに訪れる 新崎盛吾 ほか
  • きんようアンテナ
    「日野町事件」大阪高裁が「死後再審」を認める決定 西村秀樹
    元宮古島市議が『産経新聞』との名誉毀損訴訟で勝訴 安田浩一
    セクハラ対策弁護士からセクハラ、舞台俳優が提訴 小川たまか
    アベノマスク単価情報公開訴訟で開示を命令 佐藤和雄
    「むのたけじ賞」大賞は『ワタシタチハニンゲンダ!』 竪場勝司
  • 不謹慎な旅(57) 根岸外国人墓地と「ボーイズタウン」
    片翼のエンジェル 写真・文/木村 聡
  • 【提携連載企画】 誰が私を拡散したのか11
    韓国社会(中)1カ月間に実現した六つの法改正 Tansa辻麻梨子
  • メディアウオッチ
    沖縄返還に伴う日米の「密約」報じた西山太吉さん死去

    事件を契機にタブー視した毎日 臺 宏士
  • くらしの泉
    【住まい】
    マンションの老朽化を食い止めろ!
    修繕計画の高額化・長期化に備えたい
    内藤眞弓
  • きんようぶんか
    【本】
    『東方見聞録』
    伊高浩昭
    『黄色い家』 武田砂鉄
    『猫を描く 古今東西、画家たちの猫愛の物語』 田沢竜次
    『プロレタリア文学とジェンダー
    階級・ナラティブ・インターセクショナリティ』
    藤木直実
    『我方他方(あばんたばん) サックス吹き・篠田昌已読本』 松村 洋
    『「人間ではないもの」とは誰か 戦争とモダニズムの詩学』 朝吹エマ
    【映画】『フェイブルマンズ』 さこうますみ
    【音楽】『MY PALETTE』 後藤 誠
    【映画】『飯舘村 べこやの母ちゃん』 中村富美子
    【TVドキュメンタリー】 ワタナベ=アキラ

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